末梢神経損傷〔まっしょうしんけいそんしょう〕

 種々の外傷による神経損傷で、運動まひ、知覚まひ、筋萎縮(きんいしゅく)、自律神経障害を生じます。末梢神経損傷の重症度は、1.まひが一時的で数カ月以内に完全に自然回復するもの、2.自然回復するが、神経が切れており、神経は徐々にしか伸びないため回復に時間がかかるもの、3.神経が切れておりそのままでは回復しないもの、の3種類があり、外見からは区別できません。診断には神経幹刺激試験、末梢神経伝導速度検査、筋電図検査などが必要です。
 感覚や筋力が回復する時間は限られており、3.の場合にはおそくとも数カ月以内に手術を受ける必要があります。以下に代表的な末梢神経損傷とその症状をあげます。

■腕神経叢損傷
 頸椎(けいつい)から手にいく神経は5本ありますが、これらが外傷によりひっぱられて生じる神経損傷が、腕神経叢(わんしんけいそう)損傷です。オートバイ事故や転落事故、重い物の落下など、強い力のかかった外傷で起こります。分娩(ぶんべん)時にも生じることがあります(分娩まひ)。
 損傷された神経の数や部位によりまひの型が異なります。脊髄(せきずい)から神経がひき抜かれていた(ひき抜き損傷)場合は修復不能です。手術で神経を展開出しして損傷部を確認し、修復可能であれば神経移植術を、不能であれば神経移行術などをおこないます。

■橈骨神経損傷
 橈骨(とうこつ)神経損傷は、上腕骨中央部の骨折や肘上での骨折、睡眠中の腕の圧迫、上腕部への注射の際に注射針が神経を傷つけることなどで起こります。症状としては手くびを伸展し(甲側へ持ち上げ)たり指を伸ばすことができなくなり(下垂手)、手の甲の親指と人さし指の間の部分の感覚がにぶくなります。

■正中神経損傷
 正中神経損傷は、ひじから前腕の内側の切創(切り傷)、上腕骨顆上(かじょう)骨折などで起こります。親指から中指までと、薬指の親指側と、手のひらの感覚が障害されます。手くびを手のひら側に曲げる筋の一部、親指~中指の指屈筋、短母指外転筋(親指の付け根の筋)がまひします。指の一部を曲げたり動かすことができなくなるなどの、日常生活での支障が起きます。

■尺骨神経損傷
 尺骨(しゃっこつ)神経損傷は、ひじ周辺の骨折に合併することがあります。症状は肘部管(ちゅうぶかん)症候群と同じ症状です。絞扼性神経障害


■総腓骨神経損傷
 総腓骨(ひこつ)神経損傷は、ひざの靱帯(じんたい)損傷、腓骨小頭(ひざの外側やうしろにある骨のでっぱり)の圧迫などで起こります。症状としては足くびや足の指が上へもちあがらない下垂足(垂れ足)や、足の甲や下腿の外側がしびれたりします。つま先が引っかかりやすく歩行しづらいので足首を固定する装具を使用します。回復しない場合には腱を移す手術などをおこなうこともあります。
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