先天性股関節脱臼〔せんてんせいこかんせつだっきゅう〕
新生児や乳児で、大腿骨頭(だいたいこつとう)が骨盤の臼蓋(きゅうがい)の中にきちんとはまらずに臼蓋から外にずれた状態になっていることがあり、先天性股関節脱臼と呼ばれます。はっきりした原因はわかっていませんが、遺伝的な要因、生まれたあと股関節がどのような位置に保たれていたのかといった後天的な要因のいずれもが発生に関係しているといわれます。
発生率はおよそ新生児1000人に1人で、女児に多く、女児の発生率は男児の5~10倍にもなります。
[治療]
早期発見、早期治療が重要です。治療にはまず装具が用いられます。1歳未満で診断されて治療を始めた場合には、装具による固定だけでたいていよい結果が得られます。逆に1歳以降に治療を始めた場合には、装具だけでは完全に整復できないことが多くなります。
先天性股関節脱臼が完全に整復されないまま成長すると、正常では大きくくぼんでいるはずの臼蓋のくぼみが浅いかたちとなり、大腿骨頭が臼蓋の中にしっかりはまり込めない状態になることがあります。これを臼蓋形成不全といいます。
臼蓋形成不全があると、将来的に変形性股関節症になりやすいので、症状が軽くても変形性股関節症の発症を防ぐための手術をおこなうことがあります。
(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
発生率はおよそ新生児1000人に1人で、女児に多く、女児の発生率は男児の5~10倍にもなります。
[治療]
早期発見、早期治療が重要です。治療にはまず装具が用いられます。1歳未満で診断されて治療を始めた場合には、装具による固定だけでたいていよい結果が得られます。逆に1歳以降に治療を始めた場合には、装具だけでは完全に整復できないことが多くなります。
先天性股関節脱臼が完全に整復されないまま成長すると、正常では大きくくぼんでいるはずの臼蓋のくぼみが浅いかたちとなり、大腿骨頭が臼蓋の中にしっかりはまり込めない状態になることがあります。これを臼蓋形成不全といいます。
臼蓋形成不全があると、将来的に変形性股関節症になりやすいので、症状が軽くても変形性股関節症の発症を防ぐための手術をおこなうことがあります。
(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)