大腿骨頭すべり症(大腿骨骨端線離解骨折を含む)〔だいたいこつとうすべりしょう(だいたいこつこったんせんりかいこっせつをふくむ)〕
成長期の子どもの骨には、骨の両端に骨が成長するための骨端線と呼ばれる部分があります。この部分はふつうの骨にくらべて組織がやわらかいため、大きな力が加わった場合にはここで骨のずれが生じてしまいます。子どもの場合、大腿骨頭にも骨端線があるため、交通事故などで大きな力が加わった場合にはこの部分がずれて、急性型の大腿骨頭すべり症(あるいは大腿骨頭の骨端線離解骨折)と呼ばれる状態になります。
いっぽう、10~15歳くらいの男児で、特にけがなどしていないのに徐々に骨端線部がずれてくることがあり、慢性型の大腿骨頭すべり症と呼ばれます。慢性型のすべり症は左右両方の股関節に起こることが多く、また肥満傾向のある男児に多いことなどから、なんらかの体質的な要因が関与していると考えられています。
また、急性型のなかにも、それほど大きな力がはたらかなくてもずれが起こる症例があり、このような場合にも慢性型と同様、なんらかの体質的な要因が関与していると考えられています。
大腿骨頭すべり症の症状は股関節部の痛みですが、慢性型の場合、痛みは立ったときや歩行時にあるだけで安静時にはないことがふつうです。診断ではX線検査が重要ですが、初期の症例ではずれがごくわずかで、診断がむずかしいことがありますので、疑わしい場合には専門医による診察、診断を受けるようにしましょう。
[治療]
急性型では通常手術がおこなわれ、骨端線のずれを整復して手術用の特殊なねじなどで固定します。慢性型でも、ずれの程度と病気の経過によって骨端線の固定や骨の形を整える手術(骨切り術)がおこなわれることがあります。
(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)
いっぽう、10~15歳くらいの男児で、特にけがなどしていないのに徐々に骨端線部がずれてくることがあり、慢性型の大腿骨頭すべり症と呼ばれます。慢性型のすべり症は左右両方の股関節に起こることが多く、また肥満傾向のある男児に多いことなどから、なんらかの体質的な要因が関与していると考えられています。
また、急性型のなかにも、それほど大きな力がはたらかなくてもずれが起こる症例があり、このような場合にも慢性型と同様、なんらかの体質的な要因が関与していると考えられています。
大腿骨頭すべり症の症状は股関節部の痛みですが、慢性型の場合、痛みは立ったときや歩行時にあるだけで安静時にはないことがふつうです。診断ではX線検査が重要ですが、初期の症例ではずれがごくわずかで、診断がむずかしいことがありますので、疑わしい場合には専門医による診察、診断を受けるようにしましょう。
[治療]
急性型では通常手術がおこなわれ、骨端線のずれを整復して手術用の特殊なねじなどで固定します。慢性型でも、ずれの程度と病気の経過によって骨端線の固定や骨の形を整える手術(骨切り術)がおこなわれることがあります。
(執筆・監修:東京大学大学院総合文化研究科 教授〔広域科学専攻生命環境科学系〕 福井 尚志)