職業性アレルギー〔しょくぎょうせいあれるぎー〕 家庭の医学

 ある職業に従事することで発病、または悪化する病気で、職業上さらされる物質に対するアレルギーが原因となっているものを職業性アレルギーといいます。
 林業での草木の花粉(スギ、ヒノキ、シラカバ、アカマツ、クロマツ、ハンノキなど)、木工業の粉塵(米〈べい〉スギ、シラカバなど)、養蜂業者のハチ、果実栽培やハウス栽培での花粉(モモ、キク、ブドウ、ピーマン)によるぜんそくアレルギー性鼻炎、同じくハウス栽培での胞子(シイタケ)、カビによる過敏性肺臓炎、農薬による接触皮膚炎、養殖業のホヤぜんそくなどがあります。そのほか、薬局での薬剤によるぜんそく、接触皮膚炎、理美容師・調理師の接触皮膚炎などもあります。

[診断]
 就業に伴いぜんそく、鼻炎、結膜炎、皮膚炎などが発症・悪化したときに職業性アレルギーが疑われます。症状とさらされる物質との時間的関係、休業の効果などから原因物質を推定し、抗原特異的IgE測定、皮膚テストなどで確認します。ぜんそくの場合には、就業時間内と時間外のあわせて1日あたり4~5回以上ピークフロー値を測定し、さらに休業日も同じ回数のピークフロー値を測定して記録しておければ診断の役に立ちます。

[治療][予防]
 手袋、マスク、帽子、眼鏡、作業服の着用や就業環境の改善などにより、アレルゲン物質への接触を極力避けることが重要です。発症したときの治療法は、ほかの原因のアレルギーと同じです。

(執筆・監修:帝京大学ちば総合医療センター 第三内科〔呼吸器〕 教授 山口 正雄
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