骨盤位(さかご)〔こつばんい〕 家庭の医学

 胎児は頭がいちばん大きくかたいので、頭から生まれてくる分娩(ぶんべん)がもっとも順調に進みます。それにくらべて頭が上で臀(でん)部や足からの分娩は難産になりやすく、リスクが高いので、なるべく正常位(頭位)に矯正したいのですが、約5%はさかごのまま分娩となります。臀部が下の場合は通常の分娩も可能ですが、特に初産の場合、現在は帝王切開すること(帝王切開手術)がほとんどでしょう。

 妊娠中期まではさかごも多いのですが、妊娠32週ころにはほとんどが頭が下になってきます。妊娠28週ころになると、さかごの場合「胸膝位(きょうしつい)」を指導されます。これは胸とひざを床につけ腰を高くした姿勢で、毎晩寝る前に10~20分続けると、さかごが直ることが多いのです。

 外回転といって強制的に医師の手でさかごを直す方法もありますが、危険があるため反対論も多く、一般的ではありません。
 さかごになる原因は、前置胎盤など胎盤の位置がわるい場合、子宮のかたちの異常(子宮筋腫、子宮奇形など)、臍帯(さいたい)がくびに巻きついたり、羊水(ようすい)過多などがあげられますが、原因不明のこともよくあります。

(執筆・監修:恩賜財団 母子愛育会総合母子保健センター 愛育病院 産婦人科 部長 竹田 善治)
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