間食と生活習慣病 家庭の医学

 肥満傾向がある人の食生活の特徴に、間食が多いことと、夕食の量が多いこと、があげられます。ここでいう間食は、残業などで夕食がおそくなる人が、寝る前に、多くのエネルギーをとることは、からだによくないと考えて、夕食の時間に軽い食事をして、夕食の量を減らすなどのような場合の間食ではありません。いわゆる成人が、「おやつ」として食べるケーキやまんじゅう、アイスクリーム、仕事をしながら、テレビを見ながらせんべいやクッキー、ポテトチップスやあめ玉などを、なんとなくダラダラ食べる間食です。
 次に間食の問題点を3点にまとめてみました。

□甘い食べ物
 甘い食べ物の甘さをつくっているものは砂糖です。砂糖は、化学名はショ糖といってぶどう糖と果糖という2つの分子で成り立っています。果糖のとりすぎは、血液中の中性脂肪の値を上げるといわれています。中性脂肪が高い状態が続くと、心疾患の発症のリスクが高くなります。また、ショ糖のように分子が少ない糖質(単純糖質)は、吸収がよいため、食べたあとの血糖値が早く上がり、疲れたとき(正確にはエネルギーをたくさん使ったとき)に、甘いものを食べると回復を早く感じるのはこのためです。
 WHO(世界保健機関)では、2015年に肥満を予防するために、砂糖などの糖類は1日に摂取するエネルギーの5%未満(平均的な成人で25g程度)に抑える、という指針を出しています。ここでいう糖類は、糖類(ぶどう糖や果糖)とショ糖を指し、未加工の青果類や牛乳に含まれる糖分は対象外としています。
 ショ糖や甘い食べ物は、基本の食事をきちんととったうえで、生活にうるおいを得るためのものだと考えることです。健康であれば、わたしたちのからだは多少の栄養のとりかたのデコボコには適応してくれます。おいしいお菓子を味わいながら家族や友人と憩いのひとときを過ごすことは、暮らしに安らぎを与えてくれるでしょう。

□スナック菓子
 「食べ始めたらやめられない」。これはスナック菓子の魔術です。スナック菓子の多くは、高脂肪、高食塩です。いっときの空腹を満たすには、便利かもしれませんが、健康という視点からはおすすめできません。買うときには、小袋にしましょう。
 現在、標準体重より多めの人は、当分の間は、家にスナック菓子を置くのをやめましょう。やせ気味の人は、間食にスナック菓子を食べると、食事が入らなくなります。からだに多少わるくても、食べたいのが人情ですが、スナック菓子は、食べる場所や時を決め、上手に付き合うことをすすめます。

□不規則な食べかた
 不規則な食べかたには、いくつかの弊害があります。夜寝る前に、たくさん食べると胃に負担がかかります。また、食べたあとに、からだを使いませんから血糖値が下がりにくい状態になります。
 また、食事時間以外に食べるものは、スナック菓子、菓子、菓子パン、おにぎりなど、栄養的に偏ったものになりがちです。さらに、これらの食品は、エネルギー・単純糖質・脂肪が多い食品が多く、一時的なものであれば、大きな問題とはなりませんが、習慣化すると栄養のとりかたの不適切を招きます。
 また、食事を抜いたあと、空腹が強い状態で食べると、早食いや過食になりがちです。こうした食べかたは、当然、エネルギー量オーバーを招きます。
 近年、「時間栄養学」の進歩により、夜遅い時間の食事が肥満を招きやすいことや朝食の欠食が昼食後の血糖値を上げやすいことがわかってきています

*参考文献
永井成美, 坂根直樹, 森谷敏夫 : 朝食欠食, マクロニュートリエントバランスが若年健常者の食後血糖値, 満腹感, エネルギー消費量, および自律神経活動へ及ぼす影響. 糖尿病 2005; 11(11): 761-770.
矢野義記, 森脇千夏, 浅田憲彦他 : 朝食欠食と肥満に関する検討-朝食欠食する肥満者の食事摂取状況の特徴. 総合健診 2008; 35(3): 317-323.


(執筆・監修:金沢学院大学 栄養学部栄養学科 特任教授 宮本 佳代子)