食塩と生活習慣病 家庭の医学

 食塩のとりすぎは、高血圧の発症に関係しているということは、広く知られているところです。それにもかかわらず、日本人の食塩摂取量(20歳以上)は、令和元年の「国民健康・栄養調査」では10.1gとなっています。これは、食事摂取基準の目標量である成人男性7.5g未満/日、成人女性6.5g未満/日より多くなっており、減少させたい栄養成分に含まれています。
 どんな食品から食塩をとっているかを以下に示します。

 調味料からの摂取で、6.7gとなっています。パン、練り製品(蒲鉾、ハムなど)、チーズ、漬物などで、3g強となっています。家庭で使われている調味料の量を3割から5割減らすと、目標量がほぼ達成できることになります。
 しかし、外食、中食(そうざい、弁当類など)の料理は、調理してから時間を置くため、濃い味つけにしている場合が多く、外食・中食が多くなっている現在は、調味料の減量だけでは目標の達成は、困難かと思います。また、スナック菓子やおつまみ(さきいか、フライドポテトなど)からの食塩量も軽視できません。
 共働き、一人暮らし、遠距離通勤など、食べかたに影響を与えると思われる社会環境の変化のなかでは、「複合調味料や加工食品の利用」「外食、中食の増加」はやむをえない側面があります。便利さや簡便さは、生活に視点を置いて考えた場合には捨てがたい長所です。しかし、それにたよりすぎると、食塩のとりすぎだけでなく、脂質のとりすぎにもなります。
 最近の複合調味料や加工食品、市販の弁当には、食塩量が表示されています。日ごろから、食塩の表示に注意をはらうと、自分が摂取した食塩量がわかるようになります。自分の摂取量を自覚することが、食事を改善するための第一歩です。食事摂取基準の目標量を目指して少しでも近づけるように心がけると、今よりは減らすことができるでしょう。
 減塩食の具体的な実践方法は、高血圧の項(高血圧の食事療法)を参照してください。

(執筆・監修:金沢学院大学 栄養学部栄養学科 特任教授 宮本 佳代子)