水分摂取の大切さ 家庭の医学

 わたしたちのからだの60%は水分です。水はからだのなかでは血液や体液となって、からだ中に、栄養成分を運んだり、汗や尿となって、体内でいらなくなった有害な成分をからだの外に出してくれます。食事をとらなくても、短期間は生きていられますが、水なしでは、生きていられません。
 からだのなかの水分が不足すると血液の濃度が濃くなり、血液の流れもわるくなります。血栓の心配のある人は、特に注意が必要です。このため、下痢、嘔吐(おうと)、高温環境・スポーツなどでの発汗(熱で汗が出たときも同様です)などで、水分が失われたとき(脱水)には水分の補給がなによりも重要となります。
 このほか、子どもや高齢者は、ちょっとしたことで脱水状態になりやすいので、入浴前後、就寝前、起床時には、水分をとるようにします。このときの水分は水や白湯(さゆ)、薄めの緑茶類がよいでしょう。
 下痢や嘔吐などで塩類(ミネラル)も、失われている場合には、スポーツ飲料を薄めたものや、野菜スープなどで塩類を補います(市販のスポーツ飲料は、甘味が強いものが多いことがあります。脱水時の水分補給の飲み物である、経口補水液も売られていますので、利用するとよいでしょう。高齢者で嚥下障害のある人には「ゼリータイプ」のものもありますので利用されるといいでしょう。なお、市販の経口補水液は食塩が多いので、食塩制限のある人は気をつけるようにしましょう)。

(執筆・監修:金沢学院大学 栄養学部栄養学科 特任教授 宮本 佳代子)