総ビリルビン(T-bil)

■黄疸の診断
 赤血球のヘモグロビンは代謝されると、脂溶性の間接(非抱合型)ビリルビンとなり、さらに肝臓で水溶性の直接(抱合型)ビリルビンになって胆汁中に排泄(はいせつ)されます。このとき一部は腸管で再吸収されて血中に戻ります(腸肝循環)。
 直接ビリルビンと間接ビリルビンをあわせたものが総ビリルビンです。黄疸(おうだん)は、血液中に増加したビリルビンが皮膚や眼球結膜に蓄積するために起こる症状です。
 肝機能が障害されたり、胆道が閉塞されると、ビリルビンの排泄も障害されるため上昇してきます。この場合は直接ビリルビンがより上昇し、溶血性貧血などでは間接ビリルビンが上昇します。

■基準値:0.4~1.5mg/dL

■検査結果から疑われる病気
 高値の場合には、次のことが考えられます。
 溶血性貧血、急性肝炎慢性肝炎肝硬変、胆管結石症、胆管がん膵がん、先天性ビリルビン異常、体質性黄疸など

(執筆・監修:国際医療福祉大学大学院 臨床医学 教授〔臨床検査医学〕 下澤 達雄)