顎関節症〔がくかんせつしょう〕
あごの関節を動かす筋肉や靱帯(じんたい)、あるいは関節内のクッション(関節円板)、関節の骨などに異常が起こる慢性の病気です。近年、非常に多くみられる病気です。
[原因]
20歳代の女性に多くみられるとされており、慢性的な外傷(捻挫〈ねんざ〉のようなもの)や咀嚼(そしゃく)にかかわる筋肉の異常な緊張(歯ぎしりや食いしばり)などによって起こることが多く、さらに精神的なストレスなどが関与していることもあります。しかし、はっきりした原因はわからないことも少なくありません。
[症状]
あごを動かしたときの関節の痛み、関節のまわりや咀嚼筋を押したときの痛み、開閉口時の関節の雑音、口が開きにくいなどがおもな症状ですが、すべてが同時に出るというものではありません。顎関節症はその病態から、日本顎関節学会では大きく次の4つに分類しています。
咀嚼筋障害(Ⅰ型):筋肉の障害です。なんらかの原因により、咀嚼筋が緊張してかたくなり、その部分の血管が収縮して血行がわるくなると痛みが出たり、開口障害が起こったりします。
顎関節痛障害(Ⅱ型):関節包(顎関節を包むふくろ)・靱帯の障害です。顎関節部が捻挫したような状態です。関節包や靱帯が損傷し、関節包炎や滑膜炎を起こし痛みが生じる病態です。
顎関節円板障害(Ⅲ型):関節円板の障害です。関節円板が本来の位置からずれてしまう症状です。関節円板が下あごの運動とともに移動し、雑音を生じます。これが前にずれたままとなった状態を「関節円板の前方転位」と呼び、雑音は消失し、開口障害となります。顎関節円板障害の大部分は、関節円板の前方転位あるいは前内方転位・前外方転位です。
顎関節円板障害は、さらにa.復位性と、b.非復位性に分類されます。
変形性顎関節症(Ⅳ型):骨の変化を伴う症状です。顎関節に強い負荷がくり返し持続して加えられることで、その圧力により、骨の周囲などに新たな骨組織が形成されてしまう症状です。
[治療]
タイプにより治療法は異なりますが、いずれにしても障害の原因を見つけてこれを取り除くことが第一歩になります。
痛みや筋肉の緊張をとる薬を使用しながら、積極的な開口訓練や、歯にかぶせるマウスピース(バイトプレート、スプリント)の使用が効果的なこともあります。症状によっては関節のすきまに針や内視鏡を入れて治療や、筋痛の強いときはボツリヌストキシンを筋肉に注射をすることもあります。
[原因]
20歳代の女性に多くみられるとされており、慢性的な外傷(捻挫〈ねんざ〉のようなもの)や咀嚼(そしゃく)にかかわる筋肉の異常な緊張(歯ぎしりや食いしばり)などによって起こることが多く、さらに精神的なストレスなどが関与していることもあります。しかし、はっきりした原因はわからないことも少なくありません。
[症状]
あごを動かしたときの関節の痛み、関節のまわりや咀嚼筋を押したときの痛み、開閉口時の関節の雑音、口が開きにくいなどがおもな症状ですが、すべてが同時に出るというものではありません。顎関節症はその病態から、日本顎関節学会では大きく次の4つに分類しています。
咀嚼筋障害(Ⅰ型):筋肉の障害です。なんらかの原因により、咀嚼筋が緊張してかたくなり、その部分の血管が収縮して血行がわるくなると痛みが出たり、開口障害が起こったりします。
顎関節痛障害(Ⅱ型):関節包(顎関節を包むふくろ)・靱帯の障害です。顎関節部が捻挫したような状態です。関節包や靱帯が損傷し、関節包炎や滑膜炎を起こし痛みが生じる病態です。
顎関節円板障害(Ⅲ型):関節円板の障害です。関節円板が本来の位置からずれてしまう症状です。関節円板が下あごの運動とともに移動し、雑音を生じます。これが前にずれたままとなった状態を「関節円板の前方転位」と呼び、雑音は消失し、開口障害となります。顎関節円板障害の大部分は、関節円板の前方転位あるいは前内方転位・前外方転位です。
顎関節円板障害は、さらにa.復位性と、b.非復位性に分類されます。
変形性顎関節症(Ⅳ型):骨の変化を伴う症状です。顎関節に強い負荷がくり返し持続して加えられることで、その圧力により、骨の周囲などに新たな骨組織が形成されてしまう症状です。
[治療]
タイプにより治療法は異なりますが、いずれにしても障害の原因を見つけてこれを取り除くことが第一歩になります。
痛みや筋肉の緊張をとる薬を使用しながら、積極的な開口訓練や、歯にかぶせるマウスピース(バイトプレート、スプリント)の使用が効果的なこともあります。症状によっては関節のすきまに針や内視鏡を入れて治療や、筋痛の強いときはボツリヌストキシンを筋肉に注射をすることもあります。
(執筆・監修:東京大学 名誉教授/JR東京総合病院 名誉院長 髙戸 毅)
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