房室ブロック〔ぼうしつぶろっく〕

 洞結節から刺激はきちんと出ていますが、途中の房室結節・ヒス束(そく)で刺激が下に伝わらない場合を房室ブロックと呼びます。刺激が心室に伝わらないため、脈拍がおそくなり、自覚症状としてめまい・失神などが出現し、突然死の原因にもなります。

 房室ブロックで、徐脈によりめまい・失神や息切れなど症状が強く生活にさしつかえるときは心臓(人工)ペースメーカーを植え込み、心臓の脈をととのえます。ペースメーカーは、本体を左胸の皮膚の下に植え込み、そこからリードと呼ばれる電線を心房と心室に入れ、その先端の電極で刺激を出して脈拍を保ちます。
 胸を開かないで、静脈から電極を入れるだけの小さな簡単な手術で植え込めますので、90歳以上の高齢の人にも安全におこなわれ、術後は生活がずっと快適になります。心臓ペースメーカーは小型電池で作動しますが、技術の改良によって通常では約8~10年の間、交換手術を必要としなくなっています。最近では、超小型のペースメーカー本体をカテーテルで右心室に留置する、いわゆるリードレスペースメーカーが使用できるようになりました。しかし、このペースメーカーを使える人は一部に限られます。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 常勤顧問 梅村 純)
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