カテーテルアブレーション
正式名称は経皮的カテーテル心筋焼灼(しょうしゃく)術といいます。専用のカテーテルとからだの背部に貼った対極板の間で、高周波を流すことにより、カテーテル先端の温度が40~60℃になり、半径数ミリメートル範囲で心筋が凝固し、不整脈の原因をつぶす治療法です。現在、ほとんどの脈拍が速くなるタイプの不整脈に対してこの治療が可能となっています。ただし、不整脈の病巣が心筋深層にあったり、心臓に血液を供給する大切な血管に近い場合は完全につぶすことができない場合もあります。
また、もっともよく見かける心房細動の治療としてはこれまで高周波通電(下図)やクライオ(冷凍凝固)バルーンなどの熱による障害を不整脈病巣に生じさせて治療をおこなってきましたが、2024年より本邦でも熱によらずに不整脈病巣に障害を与えて治療するパルスフィールドアブレーションが導入されました。これは高電圧の電気パルスを心臓の筋肉に通電することで、細胞膜に小さな穴をあけて細胞死に至らせる方法で心筋は周囲組織よりも比較的低い電圧で細胞死に至るため、これまでの熱による治療にくらべ周囲組織への影響が少なく安全に治療できるのが特徴です。ただし、溶血や冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症などの合併症がまれに起こることや本来の脈をつくる部位(洞結節)や脈の通り道(房室結節)の近傍ではそれらにも障害を与えるため使用できないなどの短所もあり、患者さんの状態に応じて従来の方法も含め最適な方法を選ぶことになります。
カテーテルアブレーションは不整脈の原因をつぶし根治できる可能性が高い治療ですが、無症候性の良性の不整脈ではそのまま不整脈とうまく付き合っていく方法を推奨することもあり、治療方針については専門医と相談するとよいでしょう。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 副院長 新田 順一)
また、もっともよく見かける心房細動の治療としてはこれまで高周波通電(下図)やクライオ(冷凍凝固)バルーンなどの熱による障害を不整脈病巣に生じさせて治療をおこなってきましたが、2024年より本邦でも熱によらずに不整脈病巣に障害を与えて治療するパルスフィールドアブレーションが導入されました。これは高電圧の電気パルスを心臓の筋肉に通電することで、細胞膜に小さな穴をあけて細胞死に至らせる方法で心筋は周囲組織よりも比較的低い電圧で細胞死に至るため、これまでの熱による治療にくらべ周囲組織への影響が少なく安全に治療できるのが特徴です。ただし、溶血や冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症などの合併症がまれに起こることや本来の脈をつくる部位(洞結節)や脈の通り道(房室結節)の近傍ではそれらにも障害を与えるため使用できないなどの短所もあり、患者さんの状態に応じて従来の方法も含め最適な方法を選ぶことになります。
カテーテルアブレーションは不整脈の原因をつぶし根治できる可能性が高い治療ですが、無症候性の良性の不整脈ではそのまま不整脈とうまく付き合っていく方法を推奨することもあり、治療方針については専門医と相談するとよいでしょう。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 副院長 新田 順一)