呼吸器の病気で大切な症状に、呼吸困難、喘鳴(ぜんめい)、チアノーゼがあります。呼吸困難は本来、「呼吸が苦しい」という患者のうったえですが、乳幼児では自らうったえることはできないので、呼吸困難時に出現する異常な呼吸状態から判断します。次にあげる症状の有無や程度を判断して、病気の重症度を見きわめます。また、このような症状があれば、至急医療機関を受診することが必要です。
1.呼吸パターンの異常…呼吸が深くなったり、速くなったりする。
2.陥没(かんぼつ)呼吸…肋骨の間や下、胸の中央の胸骨の上下の皮膚が、呼吸をするときにへこむ状態。
3.鼻翼(びよく)呼吸…呼吸するときに、鼻の穴がふくらむ状態。
4.起坐(きざ)呼吸…横になると苦しいので、上体を起こして呼吸する。
5.頭部前屈呼吸…乳児を抱いていると、児が息を吸うときにその頭が前にかたむく現象。
6.喘鳴…狭くなった通り道を空気が通過するときに、ゼーゼーと音がする状態。
7.チアノーゼ…くちびるや爪の色が紫色の状態で、酸素が十分体内に取り込めないために起こる。
(執筆・監修:
自治医科大学 名誉教授/茨城福祉医療センター 小児科 部長 市橋 光)