認知症 家庭の医学

解説
 認知症は、一度成長して十分な知能を完成したあとに、脳の障害によって日常生活に支障をきたすようになった状態をいいます。わが国では65歳以上の高齢者の7%に認知症があります。脳の障害を具体的に分析すると、記憶障害と認知の障害になります。いろいろな病気で認知症が起こりますが、そのうちもっとも多いものがアルツハイマー病で認知症全体の60~70%を占め、次に多いのがレビー小体型認知症や多発性脳梗塞による認知症です。そのほかにも、表のような病気で認知症になることがあります。

●認知症が起こりうる病気
大 脳 の
変性疾患
大脳皮質の障害アルツハイマー病、
ピック病、
レビー小体型認知症
大脳皮質下の障害パーキンソン病、
ハンチントン病
大脳の血管障害多発性脳梗塞、
ビンスワンガー病
心停止後
外傷慢性硬膜下血腫、
頭部外傷
感染症エイズ、梅毒
プリオン病
栄養障害甲状腺機能低下症、
ビタミンB12欠乏症
慢性アルコール中毒
脳の異常水頭症、正常圧水頭症


 また、うつ病によって仮性認知症を起こすことがあります。これは一見して認知症状態なのですが、うつ病の治療によって治ります。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)