レビー小体型認知症(びまん性レビー小体病)〔れびーしょうたいがたにんちしょう(びまんせいれびーしょうたいびょう)〕 家庭の医学

 レビー小体という特殊なたんぱく質でできた構造物が大脳皮質全般と脳幹の黒質とにみられ、ユビキチンで染色されます。パーキンソン病と類似の疾患と考える学者が多いようです。
 認知症をきたす疾患のなかでは2番目に多く、典型的には50~80歳に発症します。男性と女性の比率は2:1です。

[症状]
 レビー小体型認知症の3徴候として認知症、精神症状、軽度のパーキンソン症状があります。多くは固縮(こしゅく)やアキネジア(運動不能)であり、30~50%に脱抑制(抑制がきかなくなる)と精神症状がみられます。軽度の妄想と幻視があります。認知症はアルツハイマー病より軽度です。もっとも顕著にみられるのは幻視で、暗くなると、たとえばカーテンに人の顔があらわれたり、死んだはずの人が出てきたり、知らない人が部屋に入ってきたなどという症状が起こります。アルツハイマー病とは異なり、それは幻視だということを話すと理解し、納得できます。この幻視は、パーキンソン病でも末期には出てきますし、認知症状もパーキンソン病の末期には出ることがあります。

[診断]
 軽い認知症とパーキンソン症状のある患者に幻視が特徴的にみられます。幻聴は出ないのが特徴です。心臓MIBGシンチグラフィで、123Iで標識したMIBG(metaiodobenzylguanidine:メタヨードベンジルグアニジン)がパーキンソン病と同様に心筋に集まらなくなっていれば、診断ができます。

[治療]
 いろいろの治療が試みられていますが、パーキンソン症状に対しては抗パーキンソン薬が有効です。抗認知症薬は効果がなく、むしろ精神症状を悪化させます。

(執筆・監修:一口坂クリニック 作田 学)
医師を探す