【ベルリン時事】ドイツ政府が新型コロナウイルス感染の後遺症支援を本格化させている。ラウターバッハ保健相は12日、電話窓口や最新の知見を伝える専用サイトを設置し、医療体制の確立に約4000万ユーロ(約62億円)を充当すると発表。「後遺症を抱える人にとって、パンデミック(世界的大流行)は終わっていない」と訴えた。
 コロナ感染症からの回復後、持続的な疲労感や認知・睡眠の障害など、さまざまな症状が出る例が報告されているが、詳しいメカニズムは分かっていない。世界保健機関(WHO)は欧州で30人に1人がこうした健康問題を抱えている可能性を指摘。日本でも対応が課題となっている。
 独政府は専用サイトで、症状を和らげる方法や研究状況などの情報を提供しつつ、具体的な相談を医療につなげる。来年からは、後遺症に特化した治療法の開発や医療整備に資金を投じる方針だ。
 シャリテー医科大のカーメン・シャイゲンボーゲン教授(免疫学)は「医師も感染後の疾病に精通しておらず、ケアが行き届いていない」と現状を説明。その上で「世界で研究が始まっており、効果的な治療法の開発が期待されている」と強調した。 (C)時事通信社