白斑患者の80%は効果的な治療を受けておらず、現行のさまざまな治療法の無効率は50%超と報告されている。中国・Nanhai Renshu International Skin HospitalのJingwei Liu氏らは、他の治療法で治癒に至らなかった白斑患者を対象に、308nmエキシマレーザー療法と幹細胞移植の併用治療の有効性と安全性を検討。他の治療法に比べて有効性がはるかに優れており、初回および再治療の合計治癒率が87.5%に達したとJ Cosmet Dermatolに報告した。

他の治療法で治癒に至らなかった安定期の非分節型白斑を対象

 白斑は皮膚のメラノサイトがなんらかの原因で減少・消失する疾患で、身体的健康や生理機能に影響を与えるものではないが、その見た目から患者はストレスや精神的苦痛を感じている。

 Liu氏らは、毛包メラノサイト幹細胞を用いた白斑治療法を開発し、特許を取得している。今回の検討では、この幹細胞移植後に308nmエキシマレーザーを1部位当たり20回照射する治療の有効性と安全性を検討した。

 対象は、他の治療法で治癒に至らなかった安定期の非分節型白斑で、2019年3月~21年12月にLiu氏らの施設を受診した患者56例。登録基準は、18歳以上で、紫外線照射に対する禁忌や光過敏症がなく、登録前6カ月間に受けたエキシマレーザー治療が無効で、登録前1カ月間は他の白斑治療を受けていないこととした。

 白斑への有効性は、中国の評価基準に基づき、①治癒:治療部位の白斑が完全に消失し、正常な皮膚色に移行、 ②著効:治療部位の白斑が有意に減弱・縮小し、50%以上が正常な皮膚色に移行、 ③有効:治療部位の白斑が部分的に減弱・縮小 、④無効:治療部位でメラニン形成が起こらない-とした。

白斑の面積が中等度以上の場合は、自家幹細胞の代わりに同種または異種細胞移植も探索すべき

 56例のうち、治療後6カ月で53例(94.64%)に有効性が認められた。内訳は治癒38例(67.85%)、著効11例(19.64%)、有効4例(7.14%)だった。

 初回治療で治癒に至らなかった患者のうち15例に再治療を実施。このうち11例が治癒したため、12カ月時点での合計治癒率は87.5%(49例)となった。これら49例におけるエキシマレーザーの平均照射回数は18.9回、治癒までの平均日数は135日だった。

 治癒に至らなかった患者7例の内訳は、甲状腺機能亢進症1例、甲状腺機能低下症2例、50歳超の四肢顔面型白斑3例、追跡から脱落1例だった。

 有害反応が認められたのは15例(26.7%)で、内訳は皮膚瘙痒1例、毛包炎14例だった。

 有効性満足度に関する質問票調査では、87.5%の患者が満足感を示した。

 以上より、Liu氏らは「白斑に対して幹細胞移植と308nmエキシマレーザー療法を組み合わせた治療は、他の治療法に比べて治癒率がはるかに優れることが分かった」と結論。「この治療法は臨床で広く普及させる価値がある」と期待を寄せている。一方で、同氏らは「白斑の面積が中等度以上の場合は、十分な自家幹細胞が入手できないため、同種または異種移植の可能性も探索していくべき」と今後の課題にも言及している。

(小路浩史)