新型コロナウイルスの患者約12万人の臨床データを解析した結果、高齢者は後遺症としてうつなどの発症割合が高い上、約2~5割で長期化していることが25日、医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)などの大規模調査で分かった。10万人超の規模での研究は国内初という。
 同研究所などは、2020年1月~22年6月に全国で新型コロナ陽性と診断された0~85歳の患者12万2045人について、電子カルテ情報を解析。その際、アルファ株やオミクロン株など流行株ごとに診断時期を三つに分けた。後遺症の時期について、コロナ発症から2週間以内を「急性期」、その後を「慢性期」と定義した。
 頭痛の発症率は、いずれの診断時期も急性期では2%台だったが、その約1割が慢性期まで継続していた。倦怠(けんたい)感や味覚障害も同様に、約1割が慢性期まで続いていた。
 60歳以上の高齢者では、うつなどを発症する割合が他の年代よりも高く、慢性期まで継続する割合は約2~5割に上った。コロナ発症後に要介護度が上がる傾向も見られた。
 後遺症全体の発症率は、オミクロン株流行期には大幅に減っていた。ウイルスの性質変化やワクチン接種の推進が影響した可能性があるという。
 同研究所感染メディカル情報プロジェクトの今井由美子リーダーは「後遺症は予防や治療法が確立していない。特に高齢者はうつなどが悪化しやすいので、感染後は慎重に経過を見ることが必要だ」と話している。 (C)時事通信社