健康被害が出たグミや学生の逮捕が相次いだ違法薬物事件など、悪いイメージが強かった大麻のプラス面に注目が集まっている。大麻由来成分を含む医薬品を認める大麻取締法の改正法が成立し、難治性てんかんの治療薬が実用化される可能性が高まったためだ。
 既存薬が効きにくい難治性てんかん患者らが待ち望むのは、英企業が開発した「エピディオレックス」。大麻草から抽出したカンナビジオール(CBD)が主成分で、既に米国では治療薬として承認されている。
 日本でも臨床試験(治験)が進んでいるが、改正法が成立するまで医療現場では使えなかった。今後、薬事承認されれば、国内に約2万人いるとされる患者にとって希望の光となる。
 難治性てんかんの一種「ドラベ症候群」を患う息子(29)の母親(北海道函館市)は「この薬がもっと早くに出ていたらどんな人生になっていただろうか」と話す。前触れもなく始まるけいれんは、1日40~50回起きることもあり、「見るのも苦しく、つらい」。あらゆる薬を試したが期待した効果は出なかったといい、母親は「一日でも早くこの薬が手に入るようになってほしいし、販売されればすぐに使ってみたい」と期待を寄せた。
 大麻草由来成分「CBD」を使った製品への関心も高まりつつある。民間調査会社の矢野経済研究所(東京)は、CBD製品の市場規模について、2021年は前年比185.9%の185億4100万円、22年は同139.9%の259億3600万円と試算。25年には829億7900万円と大幅に増加すると予想している。
 CBD製品は、サプリメントや食品、電子たばこ、美容液など多岐にわたる。取扱店舗も増えており、同研究所の報告書は「大麻由来成分であるCBDに対するイメージは大きく変わるだろう。市場規模はさらに拡大していく」としている。 (C)時事通信社