治療・予防

尿からナトリウムを過剰排出
~ギッテルマン症候群(神戸大学医学部付属病院小児科 野津寛大教授)~

 ナトリウムが尿から過剰に排出され、塩分が無性に欲しくなったり、夜中に何度もトイレに起きたりするギッテルマン症候群は、あまり知られていない病気だが、最近の研究で日本人の約0.2%が罹患(りかん)している可能性が判明した。研究を主導した神戸大学医学部付属病院(神戸市)小児科の野津寛大教授に聞いた。

ギッテルマン症候群の主な症状 夜中の頻尿

 ▽推定患者数20万人

 ギッテルマン症候群の患者に特徴的なのは、塩分を欲することで、極端な場合は塩をなめたり、しょうゆをそのまま飲んだりする人もいる。疲れやすさ、夜間の頻尿、手足のしびれ、筋肉のけいれん、低身長などの症状もある。

 症状が全くない場合もあるが、強い疲労感や夜間頻尿で生活の質が低下している人もいるという。野津教授は「大人も子どもも、病気と気付かずに苦しんでいる人がいます」と指摘する。

 病気の原因は、血液から尿をつくって老廃物を排出する腎臓の障害だ。腎臓には、原尿(尿のもと)に出し過ぎたナトリウムを血液に戻す仕組みがあるが、ギッテルマン症候群では遺伝子の異常でうまく機能せず、再吸収できない。

 必要なナトリウムが水分と共に尿に排出されるので、塩分が欲しくなり、多飲、多尿になる。ナトリウムと一緒にカリウムやマグネシウムも排出され、疲労感や筋肉の症状につながる。

 野津教授らは複数の遺伝子データベースで調査し、日本人の有病率は1000人当たり約1.7人とする結果を今年8月に報告した。推定患者数は約20万人となり、決して少なくない。

 ▽診療体制の整備へ

 しかし、「ギッテルマン症候群は医師の間でも認知度が低く、ほとんどの患者は診断されていません」と野津教授はみている。専門家により診断基準が作られる見通しで、症状に苦しむ患者を内科や小児科の医師が適切に診断できるようになることが期待される。

 治療は、カリウムやマグネシウムの補充、一部の消炎鎮痛薬の内服が有効という。ギッテルマン症候群の患者は「血圧は上がりにくいので、塩分の多い食べ物もある程度は許容されます」(野津教授)。低身長は、年齢などの要件を満たせば、成長ホルモン補充療法の対象になる。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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