治療・予防

原因不明の痛み―特発性直腸肛門痛
~長引くなら受診を(大腸肛門病センター高野病院 高野正太院長)~

 見た目の異常はないが、肛門や尾骨、その周辺が痛む特発性直腸肛門痛。命に関わる病気ではないものの、生活の質に影響を及ぼす。大腸肛門病センター高野病院(熊本市)の高野正太院長は「痛みが長引いている場合は、肛門科などを受診してください」と話す。

患者のライフスタイルに合わせ治療法を選択

 ▽痛みの感じ方は多様

 特発性直腸肛門痛は、ピリピリあるいはチクチクする痛み、鈍痛、違和感、骨盤周辺、肛門と外陰部とその周辺の会陰(えいん)が下がった感じなど多様な症状が見られる。痛みは数秒で治まる人もいれば、30分以上続く人も。違和感を訴える程度の人もいれば、跳び上がるほどの痛みで目が覚める人もいる。

 原因は〔1〕骨盤の中心にある仙骨の神経や陰部の神経の痛み〔2〕肛門周辺の筋肉のけいれんや凝り―があると言われるが、詳細は分かっていない。加齢に伴い発症しやすい傾向があるが、ストレスや腰痛、座りっ放しの姿勢なども誘因となる。肛門周辺にうみがたまり炎症を来す肛門周囲膿瘍(のうよう)、仙骨の腫瘍、神経障害など重篤な病気が潜んでいるケースもある。

 ▽痛みとうまく付き合う

 診察ではまず、指診と視診で肛門の状態を確認し、必要に応じて肛門内の超音波検査、肛門の感覚を調べる肛門感覚電気刺激検査や直腸バルーン感覚検査などを行う。

 治療には、足を通る脛骨(けいこつ)神経や肛門などを電気で刺激する電気刺激治療、鎮痛薬を会陰神経などに注入し一時的に痛みを緩和するブロック注射、抗うつ薬や漢方薬による薬物療法、肛門に器具を挿入し、筋肉の動きを患者が視覚的に確認しながら痛みの改善を目指すバイオフィードバック療法、血行を促進する半身浴などがある。

 副作用の少ない電気刺激治療から行われるケースが多いが、頻繁な通院が必要になる。そのため、ライフスタイルに応じた治療法の選択が重要になる。改善しない場合は、電気刺激治療の一種で、外科手術で脊髄に電極を入れて恒久的に脊髄を刺激する脊髄刺激療法もある。「痛みを完全に無くすことが難しいケースでは、うまく付き合うことを目指しましょう」と高野院長。

 「特発性直腸肛門痛の診察を行っている医療機関は少ないですが、最近はオンライン診療に対応し遠方の患者を受け入れている施設もあるので、活用してみてください。女性(専門)外来もあります」(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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