乳がんに罹患(りかん)するリスクが、座っている時間が1日当たり「7時間未満」の人より、「7時間以上」の人の方が1.36倍高いとする研究結果を、京都府立医科大の研究グループが11日までに発表した。座位時間が7時間以上ある人が運動しても罹患リスクが低下しないとの結果も出た。
 がんは生活習慣や遺伝などさまざまな要因で発症するとされているが、日本人女性の罹患率が最も高い乳がんと座位時間との関係が明らかになったのは初めてという。論文は日本がん学会誌「キャンサー・サイエンス」に掲載された。
 日本人の座位時間は世界一長い7時間との結果が過去のデータで示されている。研究グループは、日本人女性3万6000人超の健康状態を9年4カ月にわたって追跡したデータを調査した。
 実際に乳がんに罹患した人は554人おり、1日当たりの座位時間との関係を分析したところ、「7時間未満」だった人に比べ、「7~10時間」の人は32%、「10~13時間」は42%、「13時間以上」は34%それぞれ多く、罹患リスクは7時間以上で平均36%高かった。
 余暇の運動と座位時間、乳がん罹患との関係についても分析。座位時間が1日7時間以上の人は、運動を「1日1時間以上の歩行」「週3回以上の運動」「週1時間のジョギング相当の運動」をしていても、座位時間が7時間未満の人より罹患リスクが高い結果となった。
 研究グループの富田仁美医師は「乳がんの罹患には座位時間が運動よりも強い影響を与える可能性がある。1日当たりの座位時間を7時間未満にすることが、乳がんを予防する一つの方法になる」と話している。 (C)時事通信社