エーザイなどが開発したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」(商品名・レケンビ)が、20日から公的医療保険の適用対象となる。病気の原因とされる物質を除去して症状の進行を遅らせる画期的な治療薬で、同社は国内でピークとなる2031年は3万2000人に投与し、986億円の売上高を予想している。
 同社の内藤晴夫最高経営責任者(CEO)は13日、公的医療保険適用の承認を受けての記者会見で、「安全性を十分確保しつつ有効性が発揮されるよう、当事者に届けるべく全力を尽くす」と述べた。
 内藤氏は売上高予想を踏まえ、レカネマブの公定価格(薬価)について、「保険財政を大きく圧迫するようなレベルではないと考えている」と指摘した。24年度の国内投与は7000人程度を見込む。
 エーザイはレカネマブの価値について、家族の介護負担軽減などを含め年間で患者1人当たり最大約468万円との試算を専門家との連名で公表。薬価の算定に当たり「社会的価値」を考慮するよう求めていた。
 しかし、介護負担の軽減は、今回の薬価の算定対象にならなかった。内藤氏は「今後、厚生労働省の会議で議論されると理解している」と述べ、期待感を示した。 (C)時事通信社