厚生労働省は22日、介護サービスを提供した事業者に支払う介護報酬の2024年度改定案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の分科会に示し、了承された。介護職員の処遇改善に充てる加算を実質的に引き上げると同時に、現在の3種類から一本化。これらにより、24年度に2.5%、25年度に2.0%のベースアップにつなげ、継続的な賃上げを目指す。
 政府は、24年度予算編成で介護報酬全体の改定率を1.59%のプラスと決定。このうち0.98%を賃上げに充てる。厚労省は、処遇改善のための加算の一本化などの効果を合わせると2.04%相当のプラス改定になるとしている。
 サービスごとの基本報酬は、22年度決算ベースで収支が赤字だった特別養護老人ホーム(特養)など施設系を中心に増額。黒字だった訪問介護はマイナスとする一方、処遇改善の加算率を最大24.5%と手厚くした。
 認知症への対応強化では、徘徊(はいかい)や抑うつといった行動・心理症状(BPSD)を未然に防ぐケアや早期対応を促進。専門的な研修を受けた職員の配置や、チームケアを実施する施設への加算を新たに設けて支援する。
 感染症や災害への備えでは、新型コロナウイルス禍の教訓を踏まえ、特養や介護老人保健施設(老健)などに、入所者の容体が急変した場合に対応する「協力医療機関」の設置を義務付け、平時から協議するよう求める。 (C)時事通信社