医療機器を搭載し診療機能を備えた「医療コンテナ」が、能登半島地震の被災地に次々と投入されている。気密性があるため、避難所での新型コロナウイルスインフルエンザなどの二次感染予防に有効だといい、損傷した病院の代替機能も担っている。
 被災地などには計18台が導入される計画。車輪と一体のトレーラー型で、車でのけん引が可能だ。給水・電源装置も備え、簡易陰圧装置などにより気密性、清浄性にも優れていることから手術、助産支援ができる。東日本大震災や熊本地震などの被災地に導入された実績があり、新型コロナの流行時には発熱外来やPCR検査にも使われた。
 愛知医科大病院が保有する医療コンテナは7日以降、壊滅的被害を受けた穴水町や珠洲市の各病院に相次ぎ投入。診療や検査、医療従事者の休憩所に活用された。
 同病院高度救命救急センターの渡辺栄三センター長は「避難所で高齢者が急に体調を悪化させたり、すぐ搬送できなかったりする状況下で診療できる。インフルエンザ感染患者をコンテナで点滴しながら健康管理をすることも可能だ」と説明する。道路も至る所で寸断された中、地震発生7日目に使用を開始できたことで「有事での迅速な出動体制整備に向けた重要な一歩となった」とも語る。
 輪島市や金沢市にも既に導入されているほか、建物が損傷した志賀町立富来病院に21日、計4台が設置され、代替施設として医療活動が再開された。メーカーの一社、「エア・ウォーター防災」(神戸市)は被災地への運搬も担い、担当者は「一人ひとりの命を助けるため、今後も提供していきたい」と話す。 (C)時事通信社