韓国・Catholic Kwandong University International St. Mary's HospitalのHyeyun Kim氏らは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と診断された韓国人男性87例を対象に、OSA患者において有病率が高い勃起障害(ED)に対する持続陽圧呼吸(CPAP)療法の影響を検討。その結果、CPAP療法の開始前と比べて開始後3カ月の時点で国際勃起機能(IIEF)質問票の韓国語版により評価した勃起機能が有意に改善したとAging Male2024; 27: 2317165)に発表した。

開始後3カ月でED改善、CPAP使用時間は関連せず

 Kim氏らは、韓国の4カ所の睡眠治療センターにおいて無呼吸低呼吸指数(AHI)が5以上でOSAと診断された18歳以上の男性87例を前向きに登録。このうちEDを有する男性は63例で、EDの重症度の内訳は軽症(IIEFスコア12~21)が47例(74.6%)、中等症(同8~11)が10例(15.9%)、重症(同5~7)が6例(9.5%)だった。

 CPAP療法による治療の開始前および開始後3カ月の時点で、身体測定と各種の睡眠、精神症状、QOL、勃起機能に関する質問票を用いた評価を行った。その結果、EDを有する男性(63例)における平均IIEFスコアは、治療開始前の14.97±4.81から開始後3カ月の時点で16.68±5.46へと有意に改善した(P=0.001)。

 しかし、CPAP療法後のIIEFスコアは、1日当たりのCPAP使用時間が4時間以上のアドヒアランス良好群(55例)と4時間未満のアドヒアランス不良群(8例)で有意差がなく(16.69±5.47 vs. 16.63±5.78、P=0.947)、CPAP使用時間に基づく治療へのアドヒアランスとIIEFスコア改善との有意な関連は認められなかった。

QOL、不安/抑うつなどが治療後のED改善に影響

 さらに、CPAP療法後にEDが改善した群(42例)と改善しなかった群(21例)でED改善に影響した因子を解析した。その結果、CPAP療法後のED改善に影響する主な因子は年齢、BMI、各種の睡眠スコア、不安/抑うつスコア、QOLスコア、ベースラインのAHI、CPAP使用時間であることが特定された。このうち、統計学的に有意な因子は36項目の健康調査票SF-36のスコアに基づくQOLだった。

 以上の結果から、Kim氏らは「CPAP療法は男性OSA患者のEDを改善できる可能性が示された。ただし、EDの治癒を保証するものではなく、他の治療が必要になるケースもある点に注意することが重要である。治療を計画する際には、不安や抑うつなどの精神症状を有する男性でEDの改善度が大きかった点を考慮すべきである」と結論している。

 また、CPAP療法によるED改善のメカニズムについてはさらなる研究が要するとした上で、「OSAによる間欠的な低酸素状態は血管内皮機能を低下させる可能性があり、OSAに伴う睡眠障害はテストステロン値低下などのホルモンバランス異常を引き起こしうる。CPAP療法は、こうした状態の改善を通じてEDの治療に寄与しているのではないか」と説明している。

(太田敦子)