治療・予防

原因さまざま睡眠障害
強い眠気は大事故にも

 昼間、強い眠気に襲われる、十分寝ているはずなのに眠い―そんな人は睡眠障害かもしれない。「特に職業ドライバーの場合、一瞬眠ってしまっただけでも多くの生命を奪う大事故につながりかねません」と東京医科大学(東京都新宿区)睡眠学講座の笹井妙子准教授は警告する。

 ▽昼間に眠くなる病気

 日中に発作が起こったように眠くなったり、居眠りを繰り返したりする「中枢性過眠症」。その一つで、特に強い眠気に襲われる「ナルコレプシー」は覚醒神経の働きが悪くなることで発症するという。日本睡眠学会によると、日本人の有病率は0.16~0.18%(600人に1人程度)で、欧米人よりも高い。

 肥満などが原因で睡眠時に空気の通り道の上気道が狭くなる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)」では、睡眠中に呼吸が停止し、そのたびに眠りから覚めるため、日中に眠気や倦怠(けんたい)感が起きやすい。

 ナルコレプシーによる日中の眠気は、薬の服用である程度コントロールできる。OSASも就寝時に気道に空気を送り込んで押し広げる「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP)」をすることで、睡眠の質が保たれ昼間の眠気が改善する。

 笹井准教授は「OSASは夜間に何度も目が覚める上、呼吸が止まることで脳が低酸素状態になり、昼間の注意・判断力や反応性の低下につながります。家族から大きないびきや睡眠中の無呼吸を指摘されたら、早めに睡眠外来を受診しましょう」と呼び掛ける。

 ▽20~30分の仮眠を

 昼間の眠気は睡眠不足や生活リズムの乱れでも起こる。平日の睡眠時間が年代ごとの必要時間より短く、休日の睡眠時間との差が2時間以上ある場合は平日の不足分を休日に補っている状態で、この「睡眠不足症候群」が増えているという。

 十分寝たつもりでも、疲労がたまっていれば昼間の眠気は強まり集中力も下がるので過信は禁物だ。しかし、生活リズムを整え疲労がたまらないようにして、睡眠時間を確保すれば眠気が改善できることが多い。そのため、睡眠障害が疑われる場合は、まず生活習慣を見直し、それでも改善しなければ、中枢性過眠症やOSASなど別の要因の可能性を検討する。

 職業ドライバーや危険作業従事者が突然睡眠状態に入ってしまうと危険だ。「少しでも眠気を感じたらすぐ休息・仮眠を取ることが大事です。ただ、長過ぎる仮眠は逆に眠気が残ってしまいやすいので20~30分の短時間の仮眠が効果的です」と笹井准教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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