企画特集

「勇気を出して病院に行ってほしい」
清原和博さん、薬物依存の経験語る 啓発イベント「誤解だらけの“依存症”in東京」

 アルコールや薬物、ギャンブルなどの依存症に対する理解・啓発イベント「誤解だらけの“依存症”in東京」(主催・厚生労働省)が東京銀座の時事通信ホールで開かれた。愛知、大阪に続いて開催された今年度最後のイベントで、この日は覚せい剤取締法違反罪で有罪判決を受けた元プロ野球選手の清原和博さんが特別ゲストとして参加。依存症の専門医、松本俊彦氏とのトークセッションで、「薬物は一時的にやめられてもやめ続けることは自分自身では難しい。勇気を出して専門の病院に行ってほしい」と依存症に苦しむ人々に呼び掛けた。

依存症理解啓発イベントのトークセッションに臨む元プロ野球選手の清原和博さん

 清原さんがイベントなどの公の場に姿を見せたのは事件後初めてだった。

 トークセッションの詳細は次の通り。

 --厚生労働省の依存症啓発イベントからオファーが来た時、驚かれたのでは。

 正直、自分は逮捕されて3年になるんですが、こつこつと治療してきて、それが厚生労働省に認めていただいたのかなと思うと、すごくうれしい気持ちでした。

 --迷ったり、ちゅうしょしたりしなかったですか。

 少しでも自分のように苦しんでいる人のためになればと思い、すぐ自分では決めました。

 --専門的な治療を受けながら、ずっとやめ続けていると聞きました。治療につながるには勇気がいると思いますが、治療を受けたいきさつは。

 大きな一つのきっかけは、逮捕されたこと。自分が立ち直っていくうえで、どういうことをすればいいのか自分で考えた中で、薬物の専門の病院に通おうと自分で決めて弁護士さんに相談して、病院を探していただきました。

 --つらい時期はあましたか。

 約2週間に1回病院に通って、ずっといろんなテキストを勉強したり、薬物について勉強したりすることによって、どんどんどんどん自分がこうだったんだ、ああだったんだ、と理解できていったので、すごく良かったと思います。

依存症理解啓発イベントのトークセッションに臨む元プロ野球選手の清原和博さん(右)

 --薬物に悩む本人へのメッセージをいただけますか。

 自分の体験ですが、薬物は一時的に止められても、やめ続けることは自分自身では非常に難しいことだと思います。勇気を出して専門の病院に行ってほしいなと思います。

 --本人を支えている家族、友人へのメッセージを。

 いろんな人に支援していただいて、支えられています。自分の身近な人に正直にものを言えることが、自分が一番今変わったことだと思います。薬物を使っていたときは、薬物を使うためにうそをつき、自分をどんどんどんどん追い詰めていってしまい、ほとんど苦しみの日々でした。それが、近くにいる人の理解があれば…。「今、自分は苦しいんだ、つらいんだ」と言える環境があることが一番大きいことだと思います。

 ◇アルコール依存症を克服し、米大統領に

 トークセッション終了後、松本氏は依存症に関して「完治しないが、完治しない病気はたくさんある。糖尿病も節制が生涯必要だ」と語り、多くの病気と変わらないと強調。その上で、「やめ続けることで、お酒やギャンブルや薬物によって失ったものを取り戻し、普通の人と同じ生活ができる」と指摘した。

 また松本氏は、依存症をめぐる米国の社会環境について「回復した方はとても尊敬される。依存症になったことがない普通の人よりも一段高くみられるくらいだ」と指摘。ジョージ・W・ブッシュ元大統領がアルコール依存症を克服するため自助グループに通っていたことを紹介し、「それでも大統領になった。日本の場合はどうでしょうか」と問いかけ、依存症から回復しやすい社会の構築を求めた。

 さらに、「清原さんが勇気を持って来てくれたことで、治療につながろう、自助グループに行こうという勇気を出してくれる依存症の方たちが出てくれるのでは。そういう方たちがきっと(近くに)いると思って心の中で応援していただければと思います」と語った。

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