医学生のフィールド

「臨床現場で医師は何をすべきか」を自主的に学ぶ
~関東医学部勉強会サークル「KeMA」~

 ◇臨床現場で役立つテーマ

 ――医師をゲストに招く会では、具体的にどのような内容を扱うのですか。

 高原さん ドクターGのように臨床現場で役立つ臨床推論をテーマとすることが多く、例えば、救急の現場で患者さんを診るときに何が大事かといった内容を扱うこともあります。

 また、先日の第12回勉強会は2年半ぶりに民谷先生をお招きし、国家試験の過去問の中に隠れているエッセンスについて教えていただきました。高学年でも低学年でも楽しめる内容でとても面白かったです。

学年が違う参加者が同じグループでディスカッション

学年が違う参加者が同じグループでディスカッション


 ――内容のレベルが高いように思えますが、低学年の参加者も多いのですか。

 高橋さん KeMAは低学年の参加者が多いことが特徴です。1年生から6年生まで、学年が違う参加者が同じグループ内でディスカッションするのですが、高学年の人が低学年の人に教えながら進めてくれるので、低学年でも楽しく学ぶことができます。

 高学年の人でも、授業で聴いたことを覚えてテストを受けることの繰り返しになってしまいがちな学校と違い、低学年の人に教えることで、知識を整理したり、課題を見つけたりできるそうです。

 他大学の方が授業が進んでいたりすると、刺激を受けて、もっと勉強しようという気にもなります。

 参加者の学年分布が広い分、レベル設定が難しいと感じています。どの学年にも焦点が当てられるよう、例えば、前半は低学年向け、後半は高学年向けという2部構成にしたり、身体診察の模擬体験の会では、低学年向けに知識を教えた上で、高学年向けには普段、大学ではやらないことを扱ったりしました。

 知識を増やすことも重要ですが、KeMAでは楽しんで勉強することを一番重視しています。他大学の人と知り合って、他大学の他学年の人に教えてもらうという交流の場になればいいなと考えています。

 ◇学びのモチベーションが上がる

 ――参加を考えている医学生に向けて、メッセージをお願いします。

 高原さん 総合診療に興味ある人はもちろん、総合診療の道に進む予定のない人や、低学年で知識が少ない人でも、参加することで、学習のモチベーションが上がります。

模擬患者を診察

模擬患者を診察

 また、KeMAの勉強会では、得た知識を簡単には忘れてしまわないように、参加者の印象に残るような企画を毎回工夫しています。

 低学年だからと遠慮せずに、ぜひ参加してほしいし、高学年であっても、勉強会の内容はハイレベルなものを扱っているので、普段とは違った視点から勉強する場、自分の知識をアウトプットする場、あるいは他大学の学生との交流の場として参加してもらえたらと思います。

 高橋さん 新専門医制度では、後期研修医になっても各科ローテーションが必須となり、一人前になるまでの期間が長くなっています。

 その一方で、20年度から卒業時のPost-CC(臨床実習後)OSCE(客観的臨床能力試験)が導入されるなど、模擬患者を診察し、鑑別診断を挙げ、検査を考えるという、研修医が行う一通りの流れを、学生の時点で身に付けることが求められています。

 医師国家試験も臨床重視の傾向となっていますし、大学の授業だけでは学べない臨床推論や現場で必要となる知識を、現場の最前線で働いているトップドクターから教えてもらう機会が必要となるのではないでしょうか。

 そのような時代に医学生に必要とされる団体となるよう、活動を展開していければと考えています。(記事の内容、肩書などは取材当時のものです)

 *【用語説明】OSCE=医療面接で得られた情報を基に身体診察を行い、鑑別診断などの臨床推論を行う試験

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