医療ADR

訴訟より短期間、負担も軽く=制度開始10年―医療ADR

 ADRは「Alternative Dispute Resolution」の略で、公正な仲裁人、調停人が間に入り当事者間で民事紛争を解決する方法。医療トラブルを解決する医療ADRは2007年9月、東京三弁護士会(東京弁護士会、第一東京弁護士会、第二東京弁護士会)が最初に紛争解決センター、仲裁センターに窓口を開設した。現在は全国10以上の弁護士会が医療ADRを運用しており、茨城県のように医師会主導の機関もできている。

 医療ADRを担う体制、運用は機関によって微妙に異なるが、訴訟に比べ費用が安く、手続きが簡素で解決まで時間がかからない特長は共通。一方で患者側、病院側双方が話し合いの場に出ることが前提のため、対話が不可能なほど鋭く対立するケースでは利用しにくく、弁護士など仲裁に当たるあっせん人に高度の医療知識が求められることなども運用上難しい点とされる。

 これに対し、訴訟になるケースでは一部の裁判所が医療集中部を設置し、集中審理で期間短縮化を進めている。しかし、過失の有無の判定を究極の目標としているため、診療行為の事実経過や医療従事者の注意義務違反など争点が多岐にわたり、立証にかなりの時間が必要な状況は変わっていない。

 東京地裁に提訴される医療過誤訴訟は年間150~200件。東京三弁護士会への医療ADR申立件数はまだ少ないものの、最近は同40~60件と増加傾向にある。訴訟を起こされると、医療従事者側は日々の医療業務に支障を生じるほどの重荷がのしかかるが、提訴した患者側の精神的、経済的負担はそれ以上に厳しい。医療トラブルを訴訟でなくADRで解決しようという動きは着実に広がっているようだ。

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