医療ADR

訴訟より短期間、負担も軽く=制度開始10年―医療ADR

 医師の過失の有無を争う医療過誤訴訟は、他の民事訴訟に比べ審理が長期化しやすい。立証のための高い専門性が必要な上、感情のもつれを含んだ患者側と病院側の鋭い対立が背景にある。こうした中、当事者間の話し合いと相互理解という訴訟とは異なる視点から、医療トラブルを解決するためにスタートしたのが医療ADR(裁判外紛争解決手続き)だ。制度運用開始から2017年9月で10年。現状と課題を検証した。

 ◇弁護士会などに窓口

 「心臓手術を受けた患者が5年後、再発による再手術を受け間もなく死亡。遺族は、最初の手術結果の告知が不正確で、再手術後の看護や情報提供も不十分として病院側に慰謝料を請求した。病院側はカルテを基に詳細な説明書を作成。遺族はその内容を検討し、診療経過に納得できたため申し立てを取り下げた」

 「強い腹痛と下痢で受診した患者が、病院側の指示で経過観察となった数日後に死亡。遺族は病院側に診療経過の説明などを求めた。担当医が遺族の質問に答え、病院側が『より良い医療を目指す努力をする』と誓約、金銭支払いなしの和解が成立した」

 二つの事例は医療ADRで決着した医療トラブルで、手続き期間は申し立てから解決まで10カ月と3カ月。期日回数もそれぞれ1回、3回と少ない回数で済み、一般的な医療過誤訴訟に比べ、はるかに短期間で決着した。

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