医学トップの視座

産学官連携を強化
大学再編でさらなる飛躍を目指す―浜松医科大学

 浜松医科大学は、1974年に新設医大の一つとして創設。経営の効率化にむけて各地で再編が進む中でも、国立単科医科大学として存続してきた。2022年度には浜松キャンパスにある静岡大学工学部、情報学部と一体化して、新しいスタートを切る。今野弘之学長は「浜松は本田技研工業の創始者・本田宗一郎氏をはじめ、数多くの研究者、起業家を生み出したチャレンジ精神の旺盛な地域。今後は医・工・情報との連携、文理融合を進め、さらに発展していきたい」と意気込みを語る。

インタビューに応える今野弘之学長

 ◇「浜松光宣言」

 浜松医科大学の強みを一つ挙げるとすれば、「光」を核とした産学連携だ。13年6月には静岡大学、光産業創生大学院大学、浜松ホトニクス株式会社とともに、「浜松光宣言」に調印。産官学が一体となって光をテーマにした地域産業の活性化に取り組んできた。

 「基礎から臨床までさまざまな分野で『光医学』を推進しています。研究段階のものから、実用化が近いものまで、いくつものプロジェクトが進行中です」と今野学長。

 例えば、頭部用の次世代PET(陽電子放出断層撮影)を用いて認知症の6割以上を占めるアルツハイマー病を早期に診断するシステム、放射線ではなく光を使った体にやさしい光コンピューター断層撮影(CT)、レーザーを使って血管内にできた血の固まりを溶かす血栓溶解システムなどだ。

 ◇トップクラスの健康寿命

 静岡県は健康寿命が長いことでも知られる。厚生労働省が公表した都道府県別健康寿命によると、過去3回の平均値で男性72.15歳、女性75.43歳。男女とも山梨県に次ぐ第2位だ。

 「お茶がいいとか、日照時間が長いからだとか、いろいろ言われますが、環境因子だけでなく、遺伝子解析のデータも入れて、メディカルビッグデータの解析から健康寿命につながる要因を明らかにしていきたい」

 健康寿命の要因を見いだす大規模調査を進める上でも、大学再編後の工学部、情報学部との連携が重要な意味を持ってくる。

 ◇解決力を重視

 将来、社会に貢献する医師に育つ優秀な学生をいかに集めるか―。多くの医学部が入学試験で試行錯誤を重ねている。浜松医大では昨年からセンター試験の比率を下げて、個別試験を重視する方針に転換、面接の方法も大幅に変更した。

 「『どうして医学部受験するの?』と聞くと、『おじいちゃん、おばあちゃんががんになって』とか、いかにもステレオタイプの答えが返ってきます」

 この手の回答は、面接官にとっては、その気持ちを受け止めながらも「いつも聞くフレーズ」に聞こえるようだ。そこで、15分ほど前にテーマを与えて、その場でプレゼンテーションをさせる方式を取り入れた。数年前のテーマは「貢献」。

 「たじろいで泣く受験生が出るんじゃないかと心配しましたが、とんでもない。8割くらいはびっくりするようなプレゼンをします。相当なポテンシャルがありますね」

 プレゼンに対する質疑応答も厳しく行い、内容を突き詰めていくという。見極めたいのは学生の「問題抽出能力と解決法を見いだす力」。医学が猛スピードで進歩していく中で、膨大な量の情報を記憶することは、もはや不可能。むしろ思考力や表現力のほうが実践では役に立つという判断からだ。

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