インタビュー

怖い新型コロナ肺炎 
通常タイプより早く重症化

透明カーテン越しの診察で感染予防に気を配る相良博典院長=東京都品川区の昭和大学病院

透明カーテン越しの診察で感染予防に気を配る相良博典院長=東京都品川区の昭和大学病院

 ◇免疫過剰反応への対策も課題

 もう一つ見えてきた大きな課題が、症状が進行した際に生じてしまう免疫過剰反応である「サイトカインストーム」への対策だ。ウイルスなどの異物の侵入に反応した体内の免疫組織が非常に強く反応し、異物を排除し炎症を引き起こすサイトカインという物質を大量に分泌してしまう現象だ。

 この現象が起きると患者自身の肉体にも大きな障害を与えて多臓器不全で死亡に至る危険もある。

 相良院長は「新型コロナウイルス感染症によるサイトカインストームには、通常使われるステロイドの大量投与ではあまり効果がなく、インターロイキン(IL)6阻害剤と呼ばれる免疫抑制剤が有効とみられている。これも、症状が出始めた段階で投与する方が効果は大きいようだ」と話す。

 ただこのような薬の取り扱いは微妙な判断が求められる。「肺炎が重症化したり、その疑いが強かったりした場合、感染症の専門医と呼吸器内科の専門医の連携が重要になる。第2波の流行に備えて二つの専門分野の間の連携関係をどうするか、議論を進めておく必要がある」と訴えている。(喜多壮太郎・鈴木豊)

【用語説明】肺炎  肺の中で吸い込んだ酸素を血液内の二酸化炭素などを交換する肺胞が炎症を起こし、機能を失う病気。主に細菌やウイルスが気道から侵入して増殖して発症する。高熱や呼吸困難を引き起こし、抗菌薬登場までは死因全体の上位を占めてきた。現在でも、体力や抵抗力の低下した高齢者の死因では上位にある。

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