治療・予防

突然死の原因にも―腹部大動脈瘤 
心臓血管外科医に相談を

 無症状で進行する腹部大動脈瘤(りゅう)は、ある日突然破裂して急速に危険な状態を引き起こして命を脅かす。「腹部大動脈瘤は突然死の原因にもなります。他の検査などで偶然に見つかったら、間を置かず心臓血管外科を専門とする医師に相談することが大事です」と国立循環器病研究センター病院(大阪府吹田市)心臓血管外科部門血管外科の松田均部長は話す。

放置するとこぶが大きくなり、ある日突然破裂して命を落とす危険も

 ▽健診や検査で偶然発見

 大動脈は体の中で最も太い血管で、心臓から出て上に向かった後、Uターンして胸から下腹部へ伸びている。その大動脈が部分的にこぶ状に大きく膨らむ病気が大動脈瘤だ。通常は直径20ミリほどの大動脈が、30ミリ以上になる。こぶが胸部にできる場合を胸部大動脈瘤、腹部の場合を腹部大動脈瘤と呼ぶ。

 腹部大動脈瘤は、直径が大きくなるほど破裂する危険性が高まる。1年以内に破裂する危険は、40~50ミリでは5%以下だが、50~60ミリでは3~15%、60ミリ以上になるとさらに破裂しやすくなる。

 こぶが破裂すると、激しい腹痛に襲われる。血圧の低下によりショック状態に陥り、突然意識を失ったり、そのまま死に至ったりするケースもある。

 多くは動脈硬化が原因で、年齢を重ねるごとに発生頻度は高まる。「腹部大動脈瘤は、ほとんど自覚症状がありません。健康診断や、他の病気の検査や治療で発見されることが多いのです」と松田部長は説明する。

 ▽50ミリが手術の目安

 腹部大動脈瘤が見つかった場合は、コンピューター断層撮影(CT)や超音波検査でこぶの大きさや形状を確認する。腹部大動脈瘤がある人は、胸部大動脈にもこぶができている可能性が高く、動脈硬化が原因となる他の疾患を抱えている例も多いため、全身の検査を行う。

 こぶの直径が40ミリ未満であれば、大きさにより半年~1年に一度、検査を行い経過を観察する。今のところ、腹部大動脈瘤の進行を抑える治療薬はないため、こぶが50ミリ程度まで大きくなり、破裂の危険性が高まれば手術を行う。

 手術には、肥大した血管を人工血管に置き換える人工血管置換術と、ステントと呼ばれる網目状の金属を取り付けた人工血管を大動脈内に挿入するステントグラフト内挿術がある。術後は3カ月、半年、1年時に定期的にCTなどの検査をして経過を確認する必要がある。手術を受けるのは、70~80代が中心だという。

 「発見後にしっかりと管理できていれば、突然死などを未然に防げる病気です。欠かさずに検査を受けてください」と松田部長は話している。(メディカルトリビューン=時事)

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