レーザー脱毛の皮膚トラブル
安全に施術を受けるポイント(新宿南口皮膚科 乃木田俊辰院長)
女性を中心に人気の脱毛。主にレーザー脱毛と光脱毛が行われており、同じ施術方法でも施設によって価格に差があるなど、選択に悩むケースが多い。また、やけどや、毛穴の奥に細菌が入り炎症が起こる毛嚢(もうのう)炎などの皮膚障害の報告も後を絶たない。レーザー脱毛の特徴や施術を受ける際の注意点、施設を選ぶポイントなどについて、新宿南口皮膚科(東京都新宿区)の乃木田俊辰院長に話を聞いた。
レーザー脱毛の仕組み
▽エステサロンと医療機関の違い
脱毛は大きく分けて、医療機関とそれ以外(エステ)の施設で行われている。医療機関で受けるレーザー脱毛は、メラニン色素に反応するレーザーの性質を利用して、毛を産生する中枢組織の発毛の指令を出す領域(バルジ領域)に存在し、毛を作る細胞を生み出している幹細胞などを破壊する施術である。
複数の波長を含む光脱毛も同様の作用のため、医療機関でのみ許可される。乃木田院長は「エステサロンの広告で脱毛をうたうものもありますが、毛を産生する組織を破壊することは医療行為であり、エステサロンでの施術は許可されていません」と説明する。エステサロンで受けられる光脱毛は、毛を産生する組織を破壊しない範囲で行うものに限られ、「一時的な除毛です」という。
▽永久脱毛が不可能な部位も
医療機関で全身の永久脱毛が可能だと考えている人は多いが、医療レーザー脱毛でも体の部位によっては一時的な脱毛しかできない。「レーザー脱毛で永久脱毛が可能な部位は、太くて黒い毛のある脇、膝の下、Vライン(ビキニライン)、男性のひげに限られます」
一方で、医療機関で行うレーザー脱毛でも、やけど、毛嚢炎、毛が太くなる硬毛化現象などの副作用の可能性があるという。皮膚にトラブルが生じる場合もあるので、診断や適切な治療ができるレーザー治療の経験豊富な医師の元で受けることが勧められるという。
施設の選び方や見極め方について乃木田院長は「院長のプロフィルを確認することが大切です。レーザー施術の経験が豊富であり、皮膚トラブルに対応できることが重要になります。その目安として、日本レーザー医学会のレーザー専門医、日本皮膚科学会の皮膚科専門医、美容皮膚科・レーザー指導専門医などの資格を有している医師であることを確認しましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2020/10/15 06:00)