インタビュー

患者の全面サポート目指す
岡本、小池両医師に聞く(下)


 ◇スタッフとの連携

 ―がん治療に当たり、医師以外のスタッフとはどう連携するのか。
 岡本 この病院では2015年9月に「がん診療センター」を立ち上げ、昨年4月、東京都からがん診療拠点病院という認定を受けた。診療部門と緩和ケア、患者支援センターと患者さんの登録を行う登録室の4部門で構成している。関連各科の医師ら専門家が集まるキャンサーボード(がん疾患検討会議)の充実、患者支援などを通じ、がん患者を全病院的にサポートする体制をつくった。
 特に看護師や薬剤師など、医師以外の職種の人に関わってもらうことが重要だと思っている。例えば抗がん剤治療は患者さん本人がつらくても、医師に嫌われたくないからあまり文句を言わないことが多い。その一方で看護師や薬剤師には、副作用などのつらさを訴えることがある。医師は看護師らを通じ患者さんの本音を知ることができれば、薬の量を減らしたり中断したりできる。
 また治療のための分子標的薬は値段が高いが、患者さんは「お金がない」とはなかなか言えない。わざと「つらいからやめたい」とか言う場合もある。経済的に不安なことが分かれば安い薬もあるし、またソーシャルワーカーが補助制度を紹介したり就労支援を行ったりすることもできる。治療以外の点でも、患者さんの本心に沿って、全面的なサポートができればいいと考えている。(聞き手=解説委員・松本信彦)

〔前半に戻る〕肝がん、岡本友好、小池和彦医師に聞く(上)=部門超えた集学的治療


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