インタビュー

過敏性腸症候群は一生の病気=鳥居明医師に聞く(下)

 日常生活に影響を与える過敏性腸症候群(IBS)の原因となるストレス自体を軽減するのは、現代の社会生活を送る中ではなかなか難しい。ストレスとある程度共存していかなければならないが、鳥居明医師は「適切な治療を受けていれば症状が軽減され、日常生活に支障を感じない状態になる」と言う。

 ◇有効な治療薬登場

 「IBSの治療に取り組み始めた頃は、直接症状を改善する治療薬はなく、問診を重ねながら病気への理解や医師への信頼を高め、下痢や便秘といった症状を緩和する薬を対症療法的に使っていくしかなかった。現在では治療法も進歩し、下痢型に続き、2017年になって便秘型に対しても有効な治療薬が登場した。治療効果は大幅に向上している」。これらの薬は異常な腸の活動をコントロールする効果があり、長期間の服用も可能だ。適切な量を服用し続ければ、症状が出ない状態にまで改善することができる。

 市販の下剤や下痢止め薬で症状を一時的に抑えていくと、症状が悪化する恐れがある。長期的な服用は薬の効き目を弱め、より強い薬を求めたり、規定以上の量を服用したりするといった問題を引き起こしかねない。鳥居医師は「もともと市販薬は一時的な服用を前提にしている。適切な治療薬を選び、その薬の適切な服薬量を見いだすためにも、まずは医師の診察を受けてほしい」と注意を喚起する。

 ◇まず専門医にかかる

 しかし、医師による適切な治療を受けても、IBSと縁が切れるわけではない。あくまで薬や治療で症状を抑えているだけで、治療をやめてしまうと数週間から1カ月程度で症状が再発する。「『仕事や生活面で100点を求めず、75点程度で満足する』と考えるなどストレスの軽減に努める。散歩など適度な運動をしたり、暴飲暴食をせずに消化のいい食事を心掛けたりするなど、日常生活面での努力と治療を併用しながら、うまく付き合っていく必要がある病気だ」と鳥居医師は言う。

 問題はすべての医師がIBSに詳しいとは限らないことだ。東京都医師会の理事でもある鳥居医師は「昔と違って医師の間でのIBSの認知度は向上している。ただ現状では、どの薬をどの程度服用してもらうかなど医師一人一人が患者の反応を見ながら決めていく必要がある」と指摘。IBSかどうかの鑑別と必要な治療法の確定まで1カ月前後はIBSに精通した消化器内科医に任せ、治療法が確定してからかかりつけ医に治療を引き継ぐのが理想的だと言う。その後も症状に変化が生じた場合などは最初の専門医の診察を受けるなど、医療機関同士の連携も重要になる。鳥居医師は「消化器内科の専門医の中でも得意不得意があります。IBSについての啓発サイトなどを参考に、専門医を探すのも一つの方法です」とアドバイスする。
(喜多壮太郎)

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