【連載第1回】医療トラブル、話し合い解決も=ADRをご存じですか?
◇医事紛争での期待
医事紛争とは、医療行為や説明が適切に行われなかったと主張して、患者や家族らが病院や医院に対して謝罪や原因究明、損害賠償などを求めるトラブル。患者側と医療機関側の双方が、当事者間の話し合いで解決する場合もあるが、患者側の納得が得られずに裁判所に民事訴訟(いわゆる医療訴訟)が起こされるケースもある。
最高裁事務総局の統計資料によると、1970年に各地で起こされた医療訴訟件数は102件だったが、その後は右肩上がりに増加。03年には1110件とピークを迎えた。一方、話し合い解決の数を把握する統計はないものの、同時期の裁判外での解決総数は年間数千件に上ると推定された。
裁判になり争いが長期間続くと、患者や家族には物心両面で大きな負担になる。医師や看護師も多くは善意の医療者で、患者側に納得してもらえずクレームが続けば、業務や生活に大きな支障が出かねない。
04年にはADR法が公布。医事紛争は患者側、医療機関側双方のストレスが大きいだけに、迅速かつ公平に解決を図るADRが特に期待され、民間機関創設の機運が高まった。
(2017/05/31 08:43)