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危険な細菌性食中毒=生肉は要注意

 ◇原因菌は何か

 夏に発生する食中毒は、飲食物の摂取により病原細菌が体内に入ることで引き起こされる細菌性胃腸炎であることが多い。新板橋クリニック院長の清水公一医師は「一般的な症状には、発熱嘔吐、腹痛、下痢などがある。症状は個人差があるが、急にこのような症状が出たら、ほぼ急性胃腸炎と診断される」と話す。

 ただ、細菌によって特定の症状があるわけではない。清水医師は「症状だけで細菌を確定することはできない。細菌性胃腸炎かどうかを診断するには、2~3日前までさかのぼって原因と思われる飲食物をいつ食べたかを確認することがポイントとなる」と言う。

 清水医師はクリニック開院から5年間、食中毒と思われる来院患者に対して培養検査で確定診断を行った。それによると、カンピロバクターが全体の4割弱、大腸菌が3割、腸炎ビブリオが2割、残りの1割がサルモネラ菌と黄色ブドウ球菌だった。ただ、培養検査は結果が出るのに数日かかるために通常、臨床医は抗生剤による治療を優先し、強い症状の患者さんを除き、培養検査はあまり行わない。

 「診療では、患者さんにいつ何を食べたかを聞き、原因となる物を食べてからどのぐらいの時間で症状が出たかなどを細かく調べて原因菌を推測する。細菌性かどうかは血液検査で白血球の数を調べて、普段より多いようであれば細菌性の食中毒と診断する」と話す。


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