Dr.純子のメディカルサロン

たばこ依存症のメカニズム 第4回

 ◇ニコチンは脳内受容体のサブタイプが多い ~ たばこをやめられない原因

 それでは、たばこをニコチン依存症だと理解しながらも、なぜやめられないのかについて考えていきましょう。

 ニコチンはコカインより依存性が高いともいわれていますが、その特徴はニコチンの薬理作用(体内でさまざまな変化を起こすこと)によるものです。

 ニコチンは、脳の辺縁系ドパミン作動性システムの中でニコチン性アセチルコリン受容体に働き掛けるのですが、この受容体には、感受性が異なるさまざまなタイプ(サブタイプ)が存在します。

 このため、ニコチンはさまざまな薬理作用を発現します。その結果、さまざまな苦痛を都合よく和らげてくれます。また、気分を上げたいときは高め、落ち着きたいときは落ち着かせてくれる。自分の力で集中したり、リラックスしたりするのではなく、たばこに手助けしてもらうことを重ねて、たばこが手放せなくなるわけです。

 さて、それではどうすればこのたばこ依存から抜け出せるのか。それは次回お話ししましょう。

(文 海原純子)


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