Dr.純子のメディカルサロン

たばことトリガー 第5回

 たばこをなかなかやめられない方は、トリガー(引き金)の存在に気付く必要があるでしょう。どんなとき、どのような瞬間にたばこを吸いたくなるのか。それに気付くと、自分とたばこの関係が浮き彫りになることがあります。

 たばこをやめられない50代の女性。大手企業の管理職で独身。血圧が高く、脳梗塞の前兆といえる一過性虚血脳発作を起こしたことがある方です。

 その方に、どんなときにたばこを吸うのか、日々記録していただきました。私は、仕事途中の一服が多いのかなあと想像していたのですが、全く逆の結果に驚きました。忙しい平日はたばこの本数が少ないのです。これに対して、仕事が休みの週末には急に本数が増えていました。

 どうしてなのか伺ったところ、「なんか手持ち無沙汰なんですよね」というお返事でした。私は「なるほど」と思いました。この女性の場合、たばこのトリガーは「空虚さ」「寂しい感じ」なのです。そうした気持ちになると、それを紛らわし、忘れるためにたばこに手を伸ばすわけです。

 そこで彼女には、日曜日は体を動かしたり、呼吸法でリラックスしたりする習慣を付け、空虚さや手持ち無沙汰というトリガーにはまらないように過ごすことをアドバイスしました。彼女はたばこからの離脱に向けて実践しています。


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