治療・予防

ワクチンで予防可能
~加齢とともに増える帯状疱疹(奈良県立医科大学付属病院 浅田秀夫教授)~

 顔や胸、脇腹などに痛みを伴う小さな水膨れがまとまって表れる帯状疱疹(ほうしん)。加齢とともに発症しやすく、神経痛などが残るリスクも高まる。水ぼうそうにかかったことがあれば患う可能性があるが、8年前からワクチンが導入され、予防が可能になった。奈良県立医科大学付属病院(奈良県橿原市)皮膚科の浅田秀夫教授に治療法やワクチンについて尋ねた。

2種類ある帯状疱疹ワクチン

2種類ある帯状疱疹ワクチン

 ◇80歳までに3人に1人

 国立感染症研究所の2022年度調査によると、成人の9割が水ぼうそうにかかったことがある。その原因である水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)は治癒後も体内に潜伏。加齢、疲労、ストレスなどによる免疫の低下で再び活動を始め、帯状疱疹を引き起こす。

 ウイルスは神経を伝って皮膚に移動するため、ちくちくした痛みから始まる。その後、少し膨らみ水疱(すいほう)のある発疹が表れ、胸や腹、背中、顔など全身どこにでも発生する。患者は50代から増え始め、80歳までに3人に1人が発症する。

 症状が出てから早めに抗ウイルス薬で治療すれば、3週間ほどで痛みや皮膚病変は治まる。ただし、痛みが夜も眠れないほど強いことや、数カ月以上残ることがある。「視力障害や難聴といった合併症のリスクもあることを考えれば、帯状疱疹の予防が重要です」

 ◇2種類が実用化

 予防のため、16年にVZVの生ワクチン、18年にはVZVのタンパクと免疫を誘導する補助成分を組み合わせた不活化ワクチンが承認された。これらは、対象者、接種回数、有効性、副反応、費用などが異なる。

 生ワクチンは原則50歳以上が対象で、皮下注射を1回、不活化は50歳以上または帯状疱疹のリスクが高い18歳以上の人に筋肉内注射を2回行う。効果が持続するのは不活化の方が長いとされる。接種後は「どちらのワクチンでも接種部位に赤み、痛みなどの局所反応がしばしば見られます。不活化ワクチンでは、約50%の人に筋肉痛や疲労、頭痛も起こります」。

 浅田教授によると、費用は生ワクチンが約1万円、不活化は2回で計約5万円が目安。任意接種のため全額自己負担だが、一部を助成する自治体も増えている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

【関連記事】


新着トピックス