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花粉症、ひどくなれば医療機関の受診を
アレルギー抑える注射も

 暖かくなるにつれ、スギ花粉に対するアレルギーによる鼻炎や目のかゆみなどの症状が本格化してきた。服薬やマスク、ゴーグルの使用など事前に対策を進めている人も多いが、それでも花粉の飛散量が増加すると、症状もつらくなる。アレルギー症状に詳しい日本医科大学耳鼻咽喉科の後藤穣医師は「自己防衛では対応できなくなる場面は多い。そういう場合は耳鼻科などの医療機関を受診してほしい」と強調する。

日本医科大学耳鼻咽喉科・後藤穣医師

日本医科大学耳鼻咽喉科・後藤穣医師

 ◇目の周辺に塗るクリームが登場

 今年のスギ花粉の飛散量は「全国的には昨年並みかやや多い程度」と予想されているが、後藤医師によると、寒暖差の激しさに比例して一日ごとの飛散量に波が生じることが考えられるため、アレルギー症状にも強弱が出てきてしまう恐れがあるという。このため、薬局などで購入できる「OTC」と呼ばれる市販薬の服用やマスクの着用などの一般的な対策だけでは症状を抑えきれない場合が想定される。

 症状がひどい場面では、抗ヒスタミン薬を中心とした薬の服用のほか、アレルギーによる炎症が激しい鼻腔(びくう)内や眼球の炎症を抑えるステロイド系の点鼻薬、点眼薬の定期的な使用が必要になってくる。ただ、これらの治療の強弱は症状に応じて変わってくるため、医師の診察と処方が望ましいと後藤医師は指摘する。今シーズンからは目の周辺に塗るクリームも登場した。差し方によっては効果の得られくい点眼薬に代わるもので、「このクリームは皮膚表面から少しずつ吸収されるため、目や周辺部分への安定した薬効が期待できる」(後藤医師)という。

風に乗って飛散するスギ花粉

風に乗って飛散するスギ花粉

 ◇高額の生物製剤も

 これらの対策をしてもまだ症状が治まらない場合、ぜんそくやリウマチなどの患者に使われてきた「生物製剤」と呼ばれる薬を定期的に注射する治療法もある。アレルギーを引き起こす免疫の過剰反応自体を抑える。ただ、この薬は治療費が高額になる(窓口負担3割で月1回5000円以上)。

 生物製剤を使った治療を始めるべきかどうかは、専門医による診察を受け、検査結果や重症度を満たした患者(症例)にしか使用できない。後藤医師は「誰にでも勧められる治療法ではないが、治療効果が期待できる上、花粉が飛散する1~2カ月の間だけの投与なので費用負担も限定的になる。通常の治療では効果が出ない患者は一度医師に相談してほしい」と話している。(喜多壮太郎)


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