治療・予防

顔の赤みやほてり
~酒さ、専門医の治療を(アループクリニックアンドラボ 山崎研志院長)~

 額や鼻、目の下の頬、顎といった顔の中央部の皮膚が赤みを帯びたり、ほてったり、吹き出物ができたりする「酒(しゅ)さ」。特効薬はない上、他の皮膚疾患と間違われ適切な治療が行われずに重症化してしまうケースも。

 昨年、酒さの診療方針を記したガイドライン策定に携わった皮膚科専門医のアループクリニックアンドラボ(東京都中央区)山崎研志院長は「専門医の下で治療を受けることが大切です」と話す。

顔の中心部に赤みやほてり、吹き出物が生じる酒さ

顔の中心部に赤みやほてり、吹き出物が生じる酒さ

 ◇ステロイド剤で悪化も

 酒さの原因は「花粉症やハウスダストなどへのアレルギー体質に代表される遺伝的要因と、寒い地域や紫外線の強い地域に居住といった環境的要因が考えられます」。患者の年齢は10歳代前半から80歳代まで幅広い。

 脂を出す毛穴(脂腺性毛包)の周辺の皮膚が炎症を起こし、症状が表れる。ひりひりしたりちくちくしたりする感覚の他、灼熱(しゃくねつ)感を訴える患者もいる。香辛料やアルコール、カフェインなど刺激物の過剰摂取、極度の緊張状態や興奮状態、激しい運動などにより症状が悪化する人も少なくない。

 症状が繰り返し起きたり持続したりする場合、「他の診療科を同時に掲げず皮膚科だけを掲げている医療機関で、できれば皮膚科専門医の資格を持つ医師を受診してください。皮膚炎やかぶれと間違えられてステロイド剤を処方され、悪化してから専門医の下を訪れる場合があります」。

 ◇治療は根気強く

 現時点で、酒さに特化した診断法はない。問診などを通じて酒さが疑われる場合、ダニの一種である毛包虫の増加の程度を確認する顕微鏡検査、アレルギー反応の有無を確認する血液検査、接触皮膚炎(化粧品かぶれなど)の可能性を確認するパッチテストなどが行われる。

 塗り薬、飲み薬、レーザー、外科的切除の4種類が症状によって検討される。「現在、保険診療では昔から使われているイオウカンフルローションと、2022年に公的医療保険が適用となったメトロニダゾールという2種類の塗り薬の抗炎症作用が認められています」

 発症を予防する方法や根本治療は今のところない。そのため、症状を悪化させる原因が分かれば、それを避けることと、皮膚科専門医の下で治療を受けることが不可欠となる。

 「保険診療で使える薬は限られているため、自由診療による内服薬やレーザー治療なども組み合わせながら、ゆっくり時間をかけて根気強く治療を続けましょう」と、山崎院長はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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