インタビュー

イヌ、ネコも「メンタル」になる=ペット病めば、飼い主ショック

 「理由もなくほえたり、かみついたりする」「突然決まった場所で排せつしなくなった」―。飼い主の家族と同じ存在のイヌやネコが突然理解できない行動を取り始めたら、どれほどショックだろうか。そんな変異を病気として捉え、治療や研究に携わっているのが東京大学附属動物医療センター (東京都文京区)の行動診療科だ。

 「ペットとして長年飼育され続けたイヌやネコが飼い主との間で突然生じるトラブルは、大きな問題になる」。同科を担当する獣医動物行動学研究室の武内ゆかり教授は「治療に当たる側として分かるのは、イヌやネコも人間と同様、心を病むことがある。ただ、治療は可能だ」と強調する。

 ◇攻撃的行動で受診

 受診理由はイヌもネコも、飼い主や周囲へのかみつきや引っかき、ほえたてなどの攻撃的行動が多い。ただネコについては、決まった場所に排せつしなくなる「トイレ問題」で悩んでいる飼い主が多いが、なかなか受診には至らないようだ、と武内教授は分析している。問題行動の背景は多様で、スムーズに対処法が見つかる場合もあれば、ペットの生育経過の問題が影響し、投薬などの治療を続けていかなければならないケースもあるという。

 「簡単な症例を挙げると、四六時中窓に向かってほえたり、攻撃的な姿勢を示したりした『患者さん(ペット)』の治療だ」と、武内教授は優しい笑顔を浮かべながら話す。飼い主によく聞くと、交通量の多い通りに面した窓のそばに寝床が置かれていた。そこで、寝床を別の部屋に移したところ、症状が消えたという。ペットとは言葉を介しての意思疎通ができない。症状が改善し、飼い主が「なんだ。これでいいのか」と思うこともあるようだ。
 ◇早い離乳は問題

 その一方で、時間をかけて診察を積み重ねる必要があることもある。「イヌは生まれてから一定期間は親やきょうだいと一緒に暮らす中で、互いにルールを学んでいく。その前に新しい飼い主に引き渡されてしまうと、十分な社会性を構築することができず、飼い主や周囲のイヌとの間に良好な関係を築けなくなるのは人と同じだ」と武内教授。口の周りやお尻の周りのにおいをかいだりすることで、イヌ同士のルールを学ぶ。強くかめば、母親からしかられる。「幼い時に早く離乳してしまうと、後の行動に影響を及ぼす」

 人間であれば、言葉を介したカウンセリングによって問題点を浮かび上がらせる。ペットに問題行動が生じた場合、飼い主とペットの日常生活の様子を聞いたりペットが家族に加わった日からの歩みを掘り起こしたりする。治療に際しては、薬を使って「患者」の精神を安定させ、信頼関係を再構築するためにしつけにも似た手法での「認知行動療法」を積み重ねて関係の再構築をしていくこともある、という。



 

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