治療・予防

自分は醜いと思い込む =思春期に多い身体醜形障害

 どちらかと言えば鼻が低い、よく見れば顔が左右非対称だ、ややなで肩だ―。こうした自分の外見上のささいな部分に苦悩し、1日に何時間も鏡を見詰め、美容外科手術を切望したり、親に八つ当たりしたりする。日常生活にまで支障を来す場合、神経症の一種「身体醜形障害」と診断される。

 ◇完全主義の子に多い
 身体醜形障害の発症は圧倒的に思春期に多い。「放置しても症状はそれほど悪化せず、大半は20代後半から30代で和らぎます。しかし、10代~20代前半の大切な時期を苦悩に費やすことになってしまいます」。身体醜形障害に詳しい青山渋谷メディカルクリニック(東京都渋谷区)の鍋田恭孝名誉院長は治療の必要性を説く。

 発症のメカニズムは明らかではないが、鍋田名誉院長によると、患者には共通する性格があるようだ。「もともと完全主義で、負けず嫌いの傾向が強い人が多いです。小さい頃から『かわいい』と褒められて育ち、自分を客観視できる思春期に入ると、完璧なはずの自己像との違いに気付き発症する、というのが典型的なタイプです」

 30代前後で患者数が減少するのは、多くの患者がこの年齢になると、ようやく「まあ、いいか」と現実を受け入れられるようになるためだと鍋田名誉院長は分析する。

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