Dr.純子のメディカルサロン

放射線教育の充実目指す
大野和子・京都医療科学大教授

 海原 みんなに知ってほしい、放射線に関する基本知識をお教えください。

 大野 「日常的に身の周りには放射線や放射性物質が存在する」ということです。食事や呼吸によって放射性物質が毎日身体に入っていることを理解し納得できると、放射線について冷静に判断することができるようになります。

 海原 なぜ医師を志し、なぜ放射線科を選ばれたのでしょうか。

 大野 祖父は周囲から慕われる医師でした。その姿を見て成長したことが医師を目指すきっかけになりました。研修医の時、さまざまな検査データのうち、画像に関しては教科書にあるkey画像だけでは自分で診断する力が身に付かず、指導者について見方を学ばないといけないと考え、放射線科を選びました。

 海原 女性医師がキャリアを継続することの難しさは何でしょう。これまでご自身が苦労された経験はありますか。

 大野 女性医師は、家族を挙げてのサポートにはなかなか恵まれないように思います。今は何でも話し合える時代ですから、できるだけ、家族で話し合っていただきたいと思います

 私自身が驚いた思い出は、大学院を修了した途端に、それまで親切に接し、指導してくださっていた男性医師たちの態度が手のひらを返したように冷たくなったことです。今にして思えば競争相手として認められたと理解できますが、男性社会で生きる女性の厳しさを実感した最初の出来事です。

(文 海原純子)

大野 和子(おおの かずこ)

1992年愛知医科大大学院修了。京都医療科学大教授。労働衛生コンサルタント。医療放射線防護連絡協議会の企画委員長として、行政から講師を招く講習会を年2回開催。放射線や放射性物質に不安を抱く患者から日本医学放射線学会に届く質問にも回答している。

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