治療・予防

足のトラブル、外反母趾以外も
小指曲がる「内反小趾」

 ハイヒールを履き、さっそうと歩く女性の足は、靴に締め付けられさまざまなトラブルを抱えている。「内反小趾(ないはんしょうし)」もその一つ。欧米では、あぐらをかいて仕事をする洋服の仕立て職人が、小指の付け根にたこができ痛みを起こしたことから、「テーラーズバニオン」とも呼ばれる。足の専門外来を開設する吉野整形外科(横浜市)の吉野匠院長は、「内反小趾は、足のアーチ(足裏のへこみ)のつぶれが原因」と語る。

 外反母趾と併発も

 内反小趾は、小指が内側に曲がり、付け根が靴に当たって炎症を起こす。よく耳にする外反母趾(ぼし)と併発していることも多く、小指はもちろん、親指の内側や特に第2趾の付け根にたこができやすい。

 足の裏には縦のアーチと横のアーチの二つがあり、足が地面から受ける衝撃を吸収したり、地面を蹴って前に進む力を生み出したりしている。アーチがつぶれると足幅が広がり、小指の付け根が靴に当たってしまうのだという。

 アーチがつぶれる原因は、(1)加齢(2)子どもの頃からアーチが低い(3)体重が重い―などいくつかある。「他にも、足の裏の筋力が弱かったり、関節リウマチなどの基礎疾患に誘因されたりします」と吉野院長。

 ◇中敷きでアーチを矯正

 足のレントゲンで小指の付け根の角度を測り、15度以上の曲がりがあると内反小趾と診断される。治療は、患者の足に合わせて作成した「アーチサポート」という靴の中敷きでアーチを矯正していく。重度の場合は手術する場合もあるが、大半はアーチサポートでたこや痛みが消え、アーチのつぶれも改善が期待できるという。

 吉野院長は、「ハイヒールは前足部に体重が偏り、足が横に広がりやすくなるので、できるだけ避けてください」とアドバイス。休日はアーチサポートを挿入したかかとの低い靴で足をいたわることで、ハイヒールを履いたときの痛みを軽減させたい。アーチを矯正せずに、楽だからと幅広の靴を履いていると、足がさらに広がる悪循環を招きかねないという。

 アーチを整えることで、内反小趾を含む多くの足のトラブルが改善する。吉野院長は「足を床について、手の中指と薬指の2本を土踏まずに差し込み、第2関節まで指が入れば合格。入らない場合は、アーチがつぶれているかもしれません」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)


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