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臨床に高い評価-京都府立医大
地域医療に貢献する根強い精神

 ◇免疫と花粉症

 研究者としての竹中学長は免疫と花粉症を中心テーマに据える。「免疫は自己と非自己を認識する。自分とは何か。自分であり続ける能力が免疫なんです」と熱っぽく説明。その上で、「非自己であるスギ花粉が鼻に入ると『(有害と誤解して)僕には要りません』と言って、くしゃみをする。鼻づまりも起こるんです」と語る表情は、研究者に戻っていた。

鴨川に面して建つ京都府立医大=同大学提供

 「日本で最初に花粉情報を出したのは僕。『あす、花粉が飛ぶので家にいてください、薬をしっかり飲んでください』といった情報を電話のネットワークで伝えた。あの時、特許を取っておけばよかった」と、懐かしそうに振り返る。

 竹中学長は母校の大阪医大に耳鼻咽喉科学教授として戻り、薬剤部長、附属病院長、学長を務めた。そうした実務経験を踏まえて京都府立医大の学長に昨年4月就任した。最終的に不起訴となったものの、捜査を受けて前学長が辞任した事態を受けての登板だった。

 ◇これからの100年

 就任時、「創設以来の危機に直面している」と所信表明した竹中学長。「事件の影響はいろんな形であり、教職員が少し内向きのようにも思う。一つ一つ解決はしてきているが、僕自身が手応えだと感じるころとはまだ少し差がある」と1年半を振り返る。

 それでも、「教授選考が流れて決まらなかったが、今年になって立て続けに3人の新教授を決めた。どの選考にも10人を超える候補者が全国から応募してくれた。大学を良くしたい、みんなで一緒にやっていこういう機運は強くなっている」「歴史と伝統の150年だけではなく、これからの100年をどうするのか、というふうに(学内が)変われば一番いい」と、今後を見据えていた。

 ◇独立性、向学心を尊重

指導を受ける研修医(中央)=京都府立医大提供

 京都府立医大の学風について竹中学長は「上から目線で教えるのでなく、アットホーム。学生に近いところでの教育がすり込まれている。一人一人の独立性、向学心を尊重する」と指摘する。

 そうした学風の中で学ぶ医学生に向けて竹中学長は、「原点の置き方をしっかり考えてほしい。誰も喜んで病気にならないし、死にたくはない。そうした患者に手を貸すこと自体が重要だ。この仕事をする喜びと感謝が原点。原点を認識したら、与えられた教育環境を利用して少しずつでも前に進み、社会に還元する努力を怠らないでほしい」と静かに語った。(時事通信社・舟橋良治)

【京都府立医科大学の沿革】
1872年 粟田口青蓮連院内に仮療病院を設置
      治療を行うと共に医学生を教育
  80年 現在の上京区河原町に療病院を移転
  89年 附属産婆教習所を開設
  96年 附属看護婦教習所を開設
1903年 京都府立医学専門学校となる
  21年 京都府立医科大学に昇格
  52年 学制改革に伴い新制の大学に
  57年 大学院を開設

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