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手術がうまくいって無事に退院できた時、「外科医の腕が良かったのだ」と考える患者さんは多いでしょう。確かに、手術という治療が技術面に依存する部分も大きいのは事実です。しかし、実は「手術がうまくいくかどうか」に大きな影響を与える因子は、手術そのもの以外にもあります。
それは術前準備と術後管理です。
◇入念な準備が不可欠
手術の前には、入念な術前準備が必要です。
手術を成功させるには、入念な術前準備、手術、そして速やかな術後管理が重要だ
全身麻酔手術の最中は呼吸が完全に止まるため、気管にチューブを入れ、人工呼吸器につないで強制的に空気の出し入れ(換気)を行います。肺疾患をお持ちの方など、もともと呼吸機能が悪い方の場合、こうした強制的な換気による肺への負担が大きなリスクになるため、術前の呼吸機能検査は必須です。患者さんによっては、手術の前にまず呼吸器内科で治療を受けていただく、ということもあります。
食道の病気などに対して胸部の手術を行う際は、術後の呼吸障害のリスクを低減するため、術前から「呼吸リハビリ」と呼ばれる訓練を行っていただくこともあります。
また、栄養状態の悪い方は、手術後に傷の治りが悪かったり、全身状態の回復に時間がかかったりと、さまざまな問題を起こすリスクがあります。早めに入院していただき、栄養状態の改善を促すこともあります。
◇患者自身が行う準備
糖尿病で血糖値のコントロールが悪い方は、糖尿病内科に通い、血糖値を安定させてから手術を予定する、ということもあります。血糖値が高い状態が続くと、感染症を起こしやすくなったり、傷が治るのに時間がかかったりと、やはり術後にさまざまな問題を起こしうるためです。
もちろん、患者さん自身が行わねばならない術前準備もあります。
例えば、喫煙者にとっての禁煙は大切な術前準備です。喫煙者は、術後に肺炎などの重篤な呼吸器疾患を発症するリスクがありますし、創部感染(傷が膿む)のリスクも高くなります。早めに禁煙し、手術に備えていただかなければなりません。
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